The 73rd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Theme)

競技スポーツ研究部会 » 【課題A】トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表③

Wed. Aug 30, 2023 11:25 AM - 12:09 PM RYB1 (良心館地下1階RYB1番教室)

Chair: Wakaki Uchida

11:25 AM - 11:39 AM

[競技スポーツ-A-09] アクションリサーチを用いた中央競技団体事業マネジメント担当者に対する学習支援の検証(方)

*Shuhei Yamashita1,2, Waku Takahiro1,3, Ogata Mitsugi3 (1. Japan Institute of Sport Sciences, Japan Sport Council, 2. . Doctoral Program in Sport and Wellness Promotion, University of Tsukuba, 3. Faculty of Health and Sport Sciences, University of TsukubaUniversity of Tsukuba)

公費が投入される競技力向上事業において、事業推進体制が適切に整備できず、計画した方策を実施しきれない中央競技団体(NF)は、期待した成果を創出できていないことが課題となっている。その背景には、多くのNFが慢性的な人手不足であり、組織能力を向上させるための人材育成や事業マネジメントに目を向ける余裕がないという現状がある。この課題の解決は、NFの組織内での取組みだけでは難しく、組織外部からの働きかけが必要であると考える。そこで本研究は、NFだけでは解決が難しい課題解決の糸口を発見することを目指した学習支援の実践を通じて、NF事業マネジメント担当者への学習支援の成果と課題を明らかにし、より効果的な学習支援を行うための示唆を得ることを目的とした。本研究では、アクションリサーチ法を用いた。アクションは、小規模NFの事業マネジメント担当者4名に対して、3つの学習支援プログラム(研修、実践共同体、メンタリング)をパッケージ化し、提供することである。その過程を記録した上で、プロセス分析、ステークホルダー分析を行い、具体的な課題解決のための働きかけと反応を検証した。これらの分析は、議事録、メール等の文書、アンケート回答などの質的データに基づき行った。その結果、強化現場とNF事務局との間で利害や意見の調整を行っている対象者には、交流や越境によって得られた情報を活用した課題解決のための行動が見られた一方で、対象者が強化現場でのコーチの役割を兼ねている場合には、意識や行動の変容を生み出すことが難しかった。また、プログラムの企画、実施の過程において、計画段階では想定していなかったプログラム提供を行う組織の成員への支援が必要となった。NFに対する効果的な支援を行うためには、支援の内容や提供方法を検討するとともに、支援する側の組織の組織能力を向上させる方策についての検討も必要である可能性が示唆された。