日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表①

2023年8月30日(水) 10:20 〜 11:19 RY103 (良心館1階RY103番教室)

座長:國友 亮佑(環太平洋大学)

10:35 〜 10:49

[競技スポーツ-C-02] 野球の指導現場における効率的なデータ集積方法に関する実践研究(測,方)

*河村 剛光1、光川 眞壽2、染谷 由希1、中村 絵美3 (1. 順天堂大学スポーツ健康科学部、2. 東洋学園大学、3. 順天堂大学保健医療学部)

スポーツの指導現場に存在するデータを効率よく蓄積・活用することは、当該分野の発展にも関わる重要なテーマである。体育スポーツ健康に関わる多くの領域が横断するための方策と、現場と研究が連携するための工夫は類似する部分もあるだろう。本研究では、スポーツにおけるデータを現場から無理なく集積する持続可能な仕組みの基盤構築を最終目的とし、まずは野球における効率的なデータ集積に関する実践的な試みを報告する。本研究では、独自のデータ収集webシステムも活用しながら、野球の指導現場における各種データを取集していく実践的な取り組みを行った後、対象者(大学野球選手)へのアンケート調査を行った。データ項目は、主に①コンディション・トレーニング、②測定、③野球に分類した。アンケートでは、分類に対応して、重要及び重要ではないと考える項目を中心に調査した。48名のアンケートを集計した結果、①の重要項目は疲労感(67%)、練習時間(50%)、睡眠関係(42%)で、重要ではない項目は睡眠関係(23%)、体温・努力度等(各19%)であった。②の重要項目は体脂肪関連(90%)、体重(71%)、重要ではない項目は20mシャトルラン(44%)、RJ指数(35%)であった。③の重要項目はスクワットジャンプ(60%)、塁間走(33%)、重要ではない項目は12分間走(35%)であった。今回のwebシステムを元に、また普段の対象者の経験から、野球におけるデータとして重要と考える項目が明らかとなった。これらは優先的に収集すべきデータ群であろう。一方で、一定の入力の便利さがあったとしても、他に方策がなく、ただデータを収集しようとするだけでは、データ入力率は早期に低下した。その要因はデータ項目や量による影響だけではないとも言える。今後は、データの重要度だけではなく、集積方法に関わる多くの工夫について試行錯誤する必要がある。