日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表④

2023年8月30日(水) 11:25 〜 12:24 RY107 (良心館1階RY107番教室)

座長:徐 広孝(静岡産業大学)

11:55 〜 12:09

[競技スポーツ-C-15] パラサイクリングにおける1kmタイムトライアルのレース分析(バ)

*小池 岳太1、西山 哲成1、山口 雄大1 (1. 日本体育大学大学院)

自転車競技の1kmタイムトライアル対象のレース分析はこれまで数多くの研究が行われ、健常者の一般的なペーシングは「all-out strategy」が有効とされている。身体障害者を対象とするパラサイクリングにおいては、重度障害対象としたレース分析は見られるが、軽度障害を含めた研究は見当たらない。昨今、パラスポーツの競技力向上に注目が高まっている中、パラサイクリングにおいても世界記録は更新され続けており、その要因を、区間タイムや区間速度から分析することで、より強化するべき局面を客観的に分け、個別にトレーニングメニューやレースプランを作成することは、国内のパラサイクリングの一層の強化と発展に資する有益な情報となり得る。 本研究の目的は、パラサイクリング世界一流選手(重度障害から軽度障害全体)のペーシングの特徴を調査することである。2012、2016、2020年夏季パラリンピック3大会と2020年世界選手権に出場したパラサイクリスト世界一流選手115名と、比較対象に2020,2021,2022世界選手権に出場した健常者サイクリスト世界一流選手63名の公式記録を取得し、レース分析をした。 障害の程度、スタート動作別の速度分析の結果、パラサイクリングにおいても、後半の速度低下を抑えるよりも最高速度を早い段階で発揮していくペーシングやトレーニングが記録向上に寄与するという先行研究の結果と一致した。しかしながら、パラサイクリストの絶対的な記録差の幅は個人の障害により大きかったことから、個別に装具作成や用具の改良により理想のペーシングに近付ける工夫が望まれる。