日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表①

2023年8月30日(水) 10:20 〜 11:19 RY202 (良心館2階RY202番教室)

座長:末永 祐介(熊本大学)

10:20 〜 10:34

[学校保健体育-C-01] 高等学校におけるベースボール型の学習内容に関する研究(教)

教師への意識調査を視点として

*榊 悠勝1、鈴木 聡2 (1. 東京学芸大学教職大学院、2. 東京学芸大学)

高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説保健体育編体育編(以下、学習指導要領と記載)では球技領域において、ボール操作に加えて「ボールをもたない動き」に関する内容が示されている。また、「ボール運動の独自性は、ゲームの中で常に『意思決定』が要求される特質を有していること」(岩田,2016)からも、球技領域において意思決定に着目した指導が重要であるといえる。
 しかし、滝澤(2004)が述べるようにベースボール型は「『戦術学習に焦点を当てた積極的なゲーム修正』への着眼は残念ながら欠如していたと言わざるを得ない」という視点がある。先行研究では、小学校や中学校を対象とした「判断」に着目した実践は多く報告されているが、高等学校を対象としたベースボール型の「意思決定」に関する先行研究は少ない。学習指導要領において、「状況に応じたバット操作」や「状況に応じた守備」などが示されていることから、高等学校では小学校・中学校段階と比較して、より高次な意思決定に関する学習が求められているといえる。しかし、先述の通り、高等学校におけるベースボール型の実践報告が少ないことから、高等学校のベースボール型で「意思決定」に関する学びの実態を知るためには、学習の実態そのものについて把握する必要があると考えられる。
 そこで本研究は、現職の高等学校保健体育教師を対象に「ベースボール型の授業で何を学ばせているのか」について調査し、学習内容の実態とその傾向を明らかにすることを目的とした。質問紙調査の結果から、バット操作やボール操作などの技能習得が重視され、ボールをもたない動きや意思決定に関する指導については、実践者によって軽重がある可能性が示唆された。詳細は発表において報告する。