日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題B】保健体育授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題B】口頭発表②

2023年8月30日(水) 10:20 〜 11:19 RY204 (良心館2階RY204番教室)

座長:細越 淳二(国士館大学)

10:50 〜 11:04

[学校保健体育-B-07] 表現系ダンスにおける「ひと流れの動き」を創り出す指導に関する研究(2)(教)

動きから「ひと流れの動き」を創りやすい「新聞紙を使った表現」における3つの重点課題の検証を通して

*山崎 朱音1、安江 美保2 (1. 横浜国立大学、2. ノートルダム清心女子大学)

本研究は,舞踊教育専門家と小・中学校現場の熟練指導者による専門家チーム5名で協議を重ねながら,表現系ダンスにおける「共通に学ばせたい内容」を明らかにすることに向けて,熟練指導者による実践Ⅰ,指導案モデルの再構築,未熟練指導者による実践Ⅱの過程を経て研究を進めた。 動きから「ひと流れの動き」を創りやすい典型教材として取り上げた「新聞紙を使った表現」の熟練指導者による実践Ⅰでは,「全身をギリギリ(極限)まで使う」「メリハリ(緩急強弱)をはっきりつける」「移動を入れて動きを連続する」の3つを重点課題と捉えて実践した。
その結果,表したい内容から「ひと流れの動き」を創り出す「2人の戦い」とは異なる教材の特徴があることが明確になったとともに,そこにある難しさから重点課題の修正,再考を行う必要があることが明らかとなった。 特に「メリハリをはっきりつける」は,新聞紙の質感を動きにメリハリをつけて表現することが重要であった。ここには,新聞紙の質感のどのような特徴を捉え,それをどう身体で表現するのか,という課題が生じている。また,1つの質感の動きを表現するのではなく,異なる質感の動きを組み合わせることも重要な視点であった。「組み合わせること」によって動きが連続し,その連続が「ひと流れの動き」を創り出すことに繋がる。つまり,同じ動きでも動きの幅や強さ速さに変化をつけながら繰り返すことは,動きを連続させるための一つの方法と捉えられた。
また,3つの重点課題を互いに関連させながら指導していくには,「2人の戦い」と共通して「全身を極限まで使う」という身体の使い方への指導を核にしつつ,新聞紙の多様な質感を捉えて動きに緩急強弱をつけることによって表現し,異なる質感を組み合わせたり繰り返したり,上下左右の空間や踊る場所を変えることを重ねて指導していくという方向性が望ましいことが見出された。