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[学校保健体育-C-16] 発達性協調運動障害特性のある子どもの運動主体感に関する研究(発)
身体活動における粗大運動測定ツールの開発
神経学的障害や認知的問題がなくても、身体的器用さが年齢より劣っており、日常生活や学業に支障がある子どもを発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder: 以下DCD)と言う。DCD的な特性を有する子ども(以降、DCD児)の根本的な身体的不器用さは内的・外部の動きをあらかじめ予測して反応させるため、主観的な認識と関係がある。主観的な認識の変化に影響を及ぼす感覚のひとつに運動主体感がある。最近のDCD研究においては、微細運動を対象とした研究が殆どで、体育・運動・スポーツ場面においてDCD児の最大の問題点である身体的な不器用さは微細運動ではなく粗大運動であることから、本研究では粗大運動における運動主体感測定ツール(以降、開発ツール)を、すでに妥当性が確認されているAgency attribution task (Keio Method微細運動測定ツール、以降、Keio ツール)を外的基準にして開発することを目的とした。 成長期にある学童期に比べて複数回の測定結果が比較的安定すると考えられる成人期の学生20名を対象に、上記の2つのツールを実施させ得られたデータをもとに、ピアソン相関係数とウィルコクソンの符号順位検定を用いて分析した。 その結果、1つ目に、Keio ツールと開発ツールとの間に高い相関係数(r=0.885 p=0.01)が認められた。2つ目に、開発ツールの1回目と2回目の間に高い相関係数(r=0.942 p=0.01)が認められた。また、開発ツールは野球のスイングをベースに作って開発したため、野球経験の有無による違いを調べた。その結果、1回目はZ=-.613(p=.540)、2回目はZ=-1.264 (p=.206)となり、野球経験の有無は関係なかった。以上の結果から、本研究による開発ツールは粗大運動の運動主体感を分析するのに有用な測定ツールと考えた。