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[健康福祉-C-02] インクルーシブ体育における通常学級在籍児童と特別支援学級在籍児童の運動強度比較(発)
[背景・目的]インクルーシブ体育は、障がいのある子とない子が同じ集団で活動することで、双方の人間的な成長が期待できるとされている。ただし、身体運動が主要な学習対象となる体育において、インクルーシブ体育中の身体活動について量的な側面から詳細な検証をした研究はほとんどない。そこで本研究は、インクルーシブ体育中の児童の運動強度を調査し、身体活動の量的な観点から見えてくる課題を検討することを目的とした。[方法]対象者は公立の小学校に通う1、3、4および6年生の児童計316名(通常学級児童302名、特別支援学級児童14名)であった。18回の授業(9学級でそれぞれ2回)で、活動量計を用いて運動強度を計測するとともに、デジタルビデオカメラで授業の様子を記録し、期間記録法によって授業場面を区分した。運動学習場面における平均METs、運動学習場面における中高強度身体活動時間の割合(以下、MVPA%)を算出し、通常学級児童と特別支援学級児童の平均値の差をt検定により検討した。さらに、各授業で通常学級児童のMVPA%の平均値を下回った特別支援学級児童を対象に、運動領域によるMVPA%の差についてMann-Whitney検定により検討した。 [結果・考察]通常学級児童と比較して運動学習場面中の特別支援学級児童のMVPA%は有意に小さかった。さらに、通常学級児童のMVPA%の平均値を下回った特別支援学級児童においては、体つくり運動領域と比較してボール運動領域(本研究ではバレーボール、ポートボール、Tボール)で通常学級児童のMVPA%平均値からのマイナス値が有意に大きかった。以上より、特別支援学級児童においてはインクルーシブ体育に限らず学校生活の中でMVPA時間を確保することが求められること、特にMVPA時間が短い児童においては、体つくり運動領域でMVPA時間を確保できる可能性が高いことが示唆された。