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[健康福祉-C-05] 高齢者における継続的自転車利用と要介護化・死亡リスクとの縦断的関連(測)
二時点調査に基づく長期追跡研究
加齢に伴い、歩行や自転車による活動的移動が特異的に減少することが知られている。自転車は、歩行よりも広範囲の移動を可能とし、膝等の関節への負担も少ない。本邦は、高齢者であっても、そのほとんどが自転車の乗車技術を持っている希少な国であり、交通網が脆弱な中山間地域では、自転車は高齢者の生活を支える移動手段となっている。本研究では、中山間地域在住高齢者を対象に、二時点の郵送調査と、市データベースに基づく追跡調査により、自転車の継続的利用の重要性を要介護化および死亡リスクの低減という観点から検証する。茨城県笠間市における二時点の郵送調査(2013年と2017年)の両方で、自転車利用について回答が得られた3633名の高齢者を対象に、市データベースを用いて要介護1以上の認定と死亡の状況を2021年まで追跡した。Cox回帰分析を用い、年齢、性、学歴、経済状況、同居有無、BMI、各種既往、ストレス度、外出頻度、主移動手段としての車利用有無、中高強度活動量を調整した。欠損値は多重代入法により補完した。追跡の結果、二時点における継続的な自転車利用者は、一貫した未利用者に比べて、有意に低い要介護化リスク(HR=0.75, 95% CI=0.58―0.98)および死亡リスク(HR=0.57, 95% CI=0.40―0.81)を示した。一方、自転車利用の中止、開始については、リスク低減と有意な関連を認めなかった。また、補足として行った一時点(2013年)の自転車利用量(分/週)に基づく分析では、両アウトカムと有意な関連を認めなかった。高齢者における継続的な自転車利用は、要介護化および死亡のリスク低減と関連するが、利用中止や開始ではこのような関連は認められないことがわかった。また、一時的な利用状況の評価では、このような関連性は検出できないため、複数回にわたって行動を評価することの重要性が確認された。