[生涯スポーツ-SB-1] Humanity in Modernity and Well-Being in the Future from the Perspective of Post-Sports
<演者略歴>
上智大学文学部保健体育研究室を経て、2012年より成城大学に勤務。専門は、スポーツ社会学、カルチュラル・スタディーズ学会。2022年よりカルチュラル・スタディーズ学会幹事・大会実行委員長。
上智大学文学部保健体育研究室を経て、2012年より成城大学に勤務。専門は、スポーツ社会学、カルチュラル・スタディーズ学会。2022年よりカルチュラル・スタディーズ学会幹事・大会実行委員長。
近年、スポーツは二つの局面において近代の規範的な「人間」のあり方に対して鋭い問いを提起している。この問いに与えられた概念を「ポスト・スポーツ」と呼びたい。近年、多くのアスリートたちが、BLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動や#MeToo、フェミニズム運動の世界的なうねりを引き起こす重要な存在となっている。彼ら/彼女らの動きは、西洋白人男性中心主義やジェンダーの二元性、ヘテロセクシュアリティ、そして健常さの規範を理想的な身体としながらグローバルに君臨してきた近代スポーツへの厳しい異議申し立てと言えるだろう。SNSのような新しいメディア環境に繋がったアスリートたちが、既存の社会における支配的な社会関係を組み替える「ソーシャルなアスリート」として登場している。また、近代スポーツは自然/文化の二元論を維持しながら「人間中心主義」を謳ってきた。しかしポスト・スポーツの時代において、アスリートたちは新しいテクノロジー(機械、非人間)を部分とする身体を形成している。スポーツの身体は、もはや「生身」とその文化的加工・規律訓練を意味するのではなく、機械(モノ、テクノロジー)や情報(データ)や自然環境を組み込んでいる。このような身体のリアセンブリーは、近代の理想的な人間性を越えて、多様な差異を多様なままに接続/非接続する。この視座からスポーツや体育が生み出す“Well-Being”について考えていきたい。