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[競技スポーツ-C-21] 平均台における技の体系化に関する発生運動学的研究(方)
体操競技では、選手やコーチの努力によってこれまで多くの技が試合で発表され採点規則に記載されてきた。2022年版女子採点規則においては、平均台だけで500以上の技が記載されているが、平均台の技の体系においては、1974年に出版された『体操競技のコーチング』以降、未整備のままである。体操競技における技の体系化の基礎を築いた金子は、技の構造を運動形態的構成要素と運動技術的構成要素の二つの視点から分析し、歴史的な技術変化や技の収斂性に対応できるように技の形態的課題性の表記を行い、技の体系として整理し、合理的なトレーニングや採点規則の整備に貢献した。しかし、1974年以降、例えば〈後転とび正面支持臥〉、〈側方宙返り〉といった技は、平均台の技の体系において他の技とどのような関係にあるのか厳密に確認されておらず、計画的なトレーニングに支障をきたすおそれや、今後の体操競技における採点の客観性も保証され得ない可能性も出てくる。本研究では、体操競技の技を明確に定義し、体系上の位置づけを考える上で、金子の作り上げた術語体系を基に表記論的縁取り分析によって、現時点における平均台の技の体系化を行うことである。本研究は、1970年代以降に発生した〈後転とび正面支持臥〉といった技を新たに体系化し整理した。技の体型を整理する本研究の成果は体操競技のコーチング理論基礎付けに貢献することが可能となる。