日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題B】保健体育授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題B】口頭発表⑤

2023年8月31日(木) 09:00 〜 09:59 RY203 (良心館2階RY203番教室)

座長:細越 淳二(国士館大学)

09:45 〜 09:59

[学校保健体育-B-20] 高等学校体育教師が生徒のニーズに応じた指導実践に至るまでのプロセス ―質的分析をもとに―(教)

*小林 裕季1、齊藤 まゆみ2 (1. 筑波大学大学院、2. 筑波大学)

2022年の文部科学省の調査によると、通常学級に在籍する知的発達に遅れはないものの、学習面または行動面で著しい困難を示す児童生徒は小中学校で8.8%、高等学校においては2.2%(文部科学省,2022)と支援が必要な児童生徒がどの校種でも存在することが明らかとなっている。こうした現状を踏まえた体育教師の指導状況に関する先行研究は小中学校段階においては散見されているものの、高等学校段階においては管見の限りない。高等学校における2.2%に該当する生徒の存在も含めて、体育授業において指導上の様々な困難があり、指導に困難を抱える高校体育教師が存在する可能性は否定できないと考える。一方で、その困難に対処し、指導の工夫を生み出す事例も見られる。このことから、困難を覚えた高校体育教師が、指導実践の工夫に至ることで困難を解消できる可能性がある。そこで、本研究の目的は、体育授業において困難を抱える高校体育教師が生徒のニーズに応じた指導実践の工夫に至るプロセスを明らかにすることである。 研究対象者は、「教員養成段階、教員免許更新講習会等での障害児体育(アダプテッドを含む)の経験」「教育困難校配属経験」「障害のある生徒への指導経験」の3項目の中から2項目以上に該当する高等学校保健体育科教師である。調査方法は、個別の半構造化面接法を用いて、「体育授業場面における教師の抱える困難感」「体育授業場面における指導実践」を調査項目とした個別インタビューを実施し、質的分析を行なった。結果として、体育の授業において教師が抱える困難感は学級集団における「運動技能の困難」「モチベーション(意欲)の困難」であることが示唆された。発表では分析を踏まえ、これらの困難感に対し教師が行った指導実践の工夫について報告する。