日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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バイオメカニクス/口頭発表③

2023年9月1日(金) 16:00 〜 16:59 RYB1 (良心館地下1階RYB1番教室)

座長:長野 明紀(立命館大学)

16:15 〜 16:29

[05バ-口-12] 陸上競技動作分析における姿勢推定AIの実装可能性

*遠山 宜志1、下門 洋文2、吉澤 大河1 (1. 新潟医療福祉大学大学院、2. 新潟医療福祉大学)

陸上競技において、パフォーマンスの向上や怪我の予防は重要で、その手段として定量的な動作分析は有効である。しかし、動作分析の現状はデジタイズ作業の負担、高価な機材、専門的な分析ソフトが必要であり、誰でも日常的に行うには課題があった。近年、人体の関節や特徴点の位置を画像から推定できる姿勢推定AIが普及し、これによりデジタイズ作業が不要となり、動作分析にかかる時間を大幅に削減できるようになった。しかし、姿勢推定AIの陸上競技走動作での実用性や精度について明らかになっていない。そこで本研究では、姿勢推定AIが指導現場での利用を想定した場合、その実装可能性について評価することを目的とした。姿勢推定AIの訓練には、異なる撮影条件と服装の下で収集したデータセットを用いる。データセットは、大学陸上選手を対象に、走動作を複数の角度から撮影し、その動画から既存の動作分析ソフト(FrameDIAS)、既存の姿勢推定AI(OpenPose)、及び独自の姿勢推定AI(DeepLabCut)を用いて解剖学的代表点をデジタイズした。2次元4点実長換算法を使用し、全身重心速度、ストライド、体幹角度、膝関節角度などのキネマティクスを計算した。データ分析では、画像内の対象者の関節について目視で指定した点とAIが推定した点との誤差を走動作局面ごとで比較し、AIの精度について評価した。結果は現在分析中であり、発表時に詳細を示すこととする。また、独自に開発したアプリケーションの適用場面と削減できる作業時間についても示す。本研究で、走動作での姿勢推定の精度が明らかになることによって、姿勢推定を活用した簡単な動作分析が可能となり、選手自身が日々のトレーニングとパフォーマンスに科学的な視点を持つことができる。また、それに基づいてトレーニングの方向性や怪我の予防策を立てることも可能となる。