[09方-レクチャー-1] The prospects for research on tactics in coaching studies
<演者略歴>
筑波大学体育系教授。博士(コーチング学)。日本体育・スポーツ・健康学会代議員。日本コーチング学会理事長。
現在の研究テーマ:球技における「ホリスティック・コーチング」に関する実践知の解明
筑波大学体育系教授。博士(コーチング学)。日本体育・スポーツ・健康学会代議員。日本コーチング学会理事長。
現在の研究テーマ:球技における「ホリスティック・コーチング」に関する実践知の解明
試合における戦術行為は、相対する主体間や協働する主体間の相互行為の因果連鎖として展開される。これは相手や味方の行為に対して自らの行為を調整し、自らの行為に応じて相手や味方の行為が変わるという連鎖循環である。このような「かけ引き」や「コンビネーション」が求められる場では、それぞれの選手は一人でプレーを完結させられず、相手や味方を見てプレーする主体的・能動的な立場であると同時に、見られて対応される客体的・受動的な立場にもなる。
本キーノートレクチャーでは、まず客観性、論理性、普遍性を保証しようとした既存の戦術研究で明らかにされてきた知が、エキスパートたちが実践で獲得し、働かせている知と大きくかけ離れていることを例証する。次に戦術行為を理解する枠組み、具体的には(1)戦術的思考力は技術力の発揮に先立って働く、(2)フェイントは自らの意図を相手に予測させて、それを裏切ることで成立する、(3)球技の団体種目におけるチーム戦術はグループ戦術や個人戦術を構成要素としている、などを批判的に検討する。最後に実践のリアリティに寄り添い、合理的なコーチングに寄与する戦術研究のあり方について展望する。
本キーノートレクチャーでは、まず客観性、論理性、普遍性を保証しようとした既存の戦術研究で明らかにされてきた知が、エキスパートたちが実践で獲得し、働かせている知と大きくかけ離れていることを例証する。次に戦術行為を理解する枠組み、具体的には(1)戦術的思考力は技術力の発揮に先立って働く、(2)フェイントは自らの意図を相手に予測させて、それを裏切ることで成立する、(3)球技の団体種目におけるチーム戦術はグループ戦術や個人戦術を構成要素としている、などを批判的に検討する。最後に実践のリアリティに寄り添い、合理的なコーチングに寄与する戦術研究のあり方について展望する。