日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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バイオメカニクス/口頭発表④

2023年9月1日(金) 16:00 〜 16:59 RYB2 (良心館地下1階RYB2番教室)

座長:渡邊 航平(中京大学)

16:00 〜 16:14

[05バ-口-15] 中年の一般市民ランナーを対象としたレジスタンスおよびプライオメトリックトレーニングによる筋力・跳躍能力の変化と長距離走パフォーマンスの変化の関係性

*永原 悠利1、前大 純朗1、伊坂 忠夫1 (1. 立命館大学)

日常のランニングに追加して実施するレジスタンストレーニング(RT)やプライオメトリックトレーニング(PT)は、長距離走パフォーマンス向上に有効であると報告されている。しかし、中年の一般市民ランナーを対象に、RTやPTによる筋力・跳躍能力の変化が、長距離走パフォーマンスの変化と関係していることを調査した研究はほとんどない。本研究は、RTやPTによる筋力・跳躍能力の変化がランニングエコノミーやタイムトライアルの記録の変化と関連しているかどうか調査することを目的とした。中年の一般市民ランナー20名を対象に、10名ずつにRTもしくはPTをランダムに割り当てた。対象者は、日常のランニングに追加して、割り当てられたトレーニングを週2回10週間実施した。RTはレッグプレスやレッグカール、カーフレイズを実施し、PTは垂直跳びやリバウンドジャンプ、ハードルホップ、ドロップジャンプを実施した。介入前後で、3つの挙上タスクの最大挙上重量(1RM)、垂直跳びとドロップジャンプスコア、8–12km/hで走行中のランニングエコノミー、5kmの走タイムを測定した。介入前において、ランニングエコノミーや5km走タイムは、レッグプレスとレッグカールの1RMおよびすべての跳躍能力と有意な相関関係を示した(r=-0.66–-0.48, P<0.05)。トレーニングによるランニングエコノミーの変化率は、筋力・跳躍能力の変化率と有意な相関関係を示さなかったが(r=-0.17–0.36, P≤0.05)、5km走タイムの変化率は、レッグカールの1RMのそれと、中程度の相関関係がある傾向を示した(r=-0.42, P=0.07)。以上より、中年の一般市民ランナーにおいて、筋力・跳躍能力は長距離走パフォーマンスに重要な役割を果たし、トレーニングによるそれらの変化はタイムトライアルの記録の変化に関係する可能性を示した。