日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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バイオメカニクス/口頭発表④

2023年9月1日(金) 16:00 〜 16:59 RYB2 (良心館地下1階RYB2番教室)

座長:渡邊 航平(中京大学)

16:15 〜 16:29

[05バ-口-16] やり投における投動作と肩関節周囲筋活動との関係

*吉澤 大河1、下門 洋文1、遠山 宜志1 (1. 新潟医療福祉大学大学院)

陸上競技の投擲種目のうち、やり投げは特殊な動作といえる。そのため、投げるために必要な動きだけでなく、筋活動の情報も必要といえる。しかし、やり投げ動作における筋活動を調べた報告はほとんど見当たらない。そこで本研究では、やり投動作における上肢筋電図とキネマティクスの関係を調査することを目的とした。男子大学生やり投選手1名を対象に、屋外陸上競技場のやり投ピットにて、上肢投擲腕側14筋の表面筋電図(1000Hz)を記録し、投擲者とやりの動きを3台のカメラ(600fps)で撮影し3次元動作分析を行った。同期ランプを用いてカメラと筋電図の時間同期を行った。動作のイベントタイミングとして、最終右脚接地(Ron)、最終左脚接地(Lon)、リリース(Rel)とした。RonからLonまでを準備局面、LonからRelまでを投擲局面とした。各局面の筋活動を平均化し、局面間の筋活動量を比較した。その結果、準備局面において筋活動が顕著であった筋は上腕二頭筋、三角筋前部であり、投擲局面においては上腕三頭筋、大胸筋、広背筋、三角筋中部・後部、前鋸筋、小円筋、僧帽筋上部であった。局面ごとに活発な筋に違いがみられたことから、それぞれ役割があると考えられ、準備局面に活動がみられた筋はやりの保持や姿勢づくりに、投擲局面に活動がみられた筋にはやりの加速や弾道の決定に対しての役割があると考えられる。Lonの直前から直後にかけて多くの筋の活動がみられることから、投動作の複雑さがみられる。動作タイミングだけでなく詳細なキネマティクスとの関連を考える必要がある。肩周りの筋を対象としているため激しい投動作を行うと電極の接触がみられ、正確な筋電図の測定が困難であった。フィールド環境でやり投げ動作と筋活動を同時に捉えることができた。