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[05バ-口-17] 円盤投におけるターン動作のキネマティクス比較
陸上競技における円盤投は、多くの選手は投擲の際、ターン動作と呼ばれる一回転半の回転動作を行う。また、シニア選手の多くはリバース投法と呼ばれる、リリース時にジャンプ動作を伴う投げ方を選択している。一方、ジュニア選手はノーリバース投法と呼ばれる、ジャンプなしの投げ方が指導される。つまり、発育や技術レベルに合わせて、投げ方が移行する。しかしながら、この二つの投げ方について、動作の特徴を詳細に比較した研究はほとんどみあたらない。そこで本研究では、円盤投におけるターン動作の違いによるキネマティクスを比較することを目的とした。大学男子円盤投競技者(PB 46 m)を対象に、室内投擲場にてリバース投法とノーリバース投法の動作分析を行った。2台のハイスピードカメラ(120 Hz)で撮影し、得られた動画を動作分析ソフト(FrameDias)でデジタイズし、三次元座標を得た。得られたデータを数値解析ソフト(MATLAB)でキネマティクスを算出し、試技間で比較した。その結果、リリース時の円盤の初速度は、リバースの方が高かった(19.78 m/s, ノーリバース 19.11 m/s)。第二両脚支持局面(左脚接地からリリース)において、身体各部(腕部、体幹部、脚部)の獲得速度は、腕部でリバースの方が高かったが(14.95 m/s, ノーリバース13.91 m/s)、体幹部では、ノーリバースの方が高かった(2.42 m/s, ノーリバース2.91 m/s)。また、左脚接地時の体幹捻転角度はノーリバースの方が高かった。これらのことから、リバース投法は、初速度が高く、腕部の速度も高いが、ノーリバース投法に比べて、体幹部捻転角度が小さいため、体幹の捻り戻しよりも、全身の移動・回転による技術と考えられる。このため、指導する際には、両投法の特徴を考慮すべきである。