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[11教-口-09] 中学校保健体育教師の有する教師観に入職後の経験や期待認知が及ぼす影響
教師の職務内容は多岐に渡るが、その中心的な職務は教科指導である。しかしながら、保健体育教師に対しては、教科指導よりも生徒指導や部活動指導に関する期待やそれらの業務への従事が求められていることが問題として挙げられている(石村ら、2007)。また、保健体育教師を対象とした研究では、期待の認知が大きいほど期待に沿った行動をすることが報告されており(門屋ら、2016)、周囲からの期待により、生徒指導や部活動指導に従事せざるを得ず、授業に十分な力を注ぐことができない状況が考えられる。 本研究では、教師の思考や行動を根底で規定する、教師の信念に着目し、中でも、「教師としての自己の在り方や役割、自身の力量形成についての考え方」と定義される(須甲ら、2013)教師観に着目する。教師観は、教師の成長を規定していることから、運動部活動指導者としてではなく、授業者としての教師観を形成する必要がある。教師観の変容について、入職前後で比較し、入職後の経験や周りからの期待と関連付けることで教師観が変容する要因を明らかにできると考えた。 これらのことから、本研究では、保健体育教師が有する教師観に、入職後の経験や本人が感じる周囲からの期待が及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。方法として、公立中学校に勤務する教職歴2、3年の若手保健体育教師を対象に、半構造化インタビューを行い、自身の目指す理想の教師像、学校における保健体育教師の役割をどのように捉えているか、周囲からの期待をどのように感じているかについて回答を得た。また、入職前に抱いていた理想の教師像と保健体育教師の役割をどうとらえていたかについても尋ね、変容した場合にはその理由を尋ねた。得られた回答から、教師が保有する教師観の実態と変容、教師観に影響を及ぼす入職後の経験や期待認知について検討を行った。