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[08測-口-10] 高齢者自動車運転リスクを捉えるDual-task testの測定条件間の難度比較
自動車運転はハンドル操作による進行方向とアクセル・ブレーキ操作による制動のDual-task(DT)を状況に応じて行う必要がある。高齢者ドライバーの事故原因の上位に占めるハンドル操作やアクセル・ブレーキ操作の誤りの多くはDT遂行能力の低下が関係していると考えられる。本研究は手指によるカーソル操作と足によるペダル選択による二重運動課題によって高齢者自動車運転リスク評価するテスト条件間の難度を比較することであった。65~89歳(76.4±6.8歳)の地域在住高齢者140名(男性40名,運転免許保有者106名)が測定に参加し、3条件の測定を行った。条件1は画面中央に3秒間隔で交互して8回表示される青もしくは赤丸に応じて素早く足部ペダル(青:アクセル、赤:ブレーキ)を踏む課題であった。条件2は条件1の課題に加え、画面四隅に表示される目標点にスティック操作で合わせる課題を与えた。条件3は条件1の課題に加え、画面左端に正弦波形で画面上に移動する目標点をスティック操作で追従する課題を与えた。各条件におけるペダル反応時間(反応時間)、ペダル選択を誤った回数(誤反応)を測定した。対応のある一要因分散分析により条件間の有意差を検証した(p<.05)。反応時間、誤反応ともに条件1, 条件3, 条件2の順で有意に高い値であった。条件2は画面四隅にランダムに表示される目標点を発見するため視線の移動が大きくなるが、発見後のカーソルの移動は方向のみ決定すればよい。一方、条件3は目標点の移動とカーソルに注視するものの視線の移動は小さいものの、カーソルの移動は手指による微細な調節が必要となる。以上より、手指の調節よりも視線の移動が大きい課題の方が適切なペダル操作を行ううえで難度の高い課題であることが示唆された。