[03心-ポ-33] 大学生の健康への興味が特性的自己効力感に及ぼす影響
本研究の目的は,大学生の特性的自己効力感(以下,GSE)尺度の因子構造に関する新たな知見を得ることを通して,健康への興味がGSEに及ぼす影響を明らかにすることであった.調査対象者は大学生の男子139名,女子233名,計372名(平均年齢=18.32±.79歳)であった.調査はGSE尺度,健康への興味(自身の現在、及び20年後)について回答が行われた.分析は,まず探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)により2因子13項目が抽出された.次に,探索的因子分析によって得られた2因子13項目のモデルに検証的因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行ったところ,GFI=.919,AGFI=.884,CFI=.886,RMSEA=.076であり,因子構造モデルの適合度は許容範囲内であると判断された.その後,GSE下位尺度を従属変数,性と健康への興味を独立変数とする二元配置分散分析が行われた.
大学生におけるGSE尺度は第1因子「問題解決」,第2因子「対人関係」の2因子構造であることが明らかとなり,その信頼性・妥当性が検証された.また,GSE下位尺度との関連が有意であったことから,現在の健康への興味の程度が高ければGSE得点が有意に高いことが確認された.「問題解決」においては、男子より女子の方が有意に高い結果であった.20年後の健康への興味は,「問題解決」においては「1.健康でいるか興味がない」を選択した場合は女子の得点が男子より有意に高かった.また,男子では20年後の健康への興味の程度との関連が有意であった.「対人関係」においては,20年後の健康への興味の程度と有意な関連が認められた.以上から,大学生に対して保健体育実技や講義などの授業において健康に対する興味や関心を持たせるアプローチは彼らのGSEを育むための効果的な手立ての一つとなり得ることが示された.