[03心-ポ-49] JISS心理グループの過去20年間における個別心理サポートの実態調査
初回来談時のトップアスリートの主訴に着目して
JISS開所以来、毎年一定数のトップアスリートがJISS心理グループの個別心理サポートを求めて来談している。我々の個別心理サポートを取り入れるアスリートは年々増え、心理サポートに対する需要が高まりつつある。一方で、心理サポートに対する偏見やネガティブなイメージは未だ散見され、アスリートが心理サポートを受けづらくなる原因の一つにもなっている。このような課題を解決するためには、我々が行ってきた個別心理サポートの知見を整理し、心理サポートの理解・普及・啓発に繋げていくことが早急に求められるだろう。そこで本研究では、過去20年間においてJISS心理グループの個別心理サポートに来談したトップアスリートの心理的問題・課題の傾向を整理することを目的とした。研究対象者は、過去20年間においてJISS心理グループの個別心理サポートに来談したトップアスリート322名であった。まず、個別心理サポートに来談したトップアスリートの属性を整理した結果、男性が41.0%(24.6±5.4歳)、女性が59.0%(23.9±6.3歳)の割合であることがわかった。次に、個別心理サポート申込票における主訴の項目を整理した結果、男性、女性ともに、試合での実力発揮(男性:75.8%、女性:71.1%)が高い割合を示した。次いで、競技生活での不安・焦り(男性:47.0%、女性:54.2%)、自分の性格や気分(男性:34.1%、女性:51.1%)が高い割合を示した(複数回答有)。これらの結果は、初回来談時に訴えるトップアスリートの心理的問題・課題の傾向であるといえる。特に、女性アスリートにおいて個別心理サポートの利用頻度が高かったことは、これまでの女性アスリートの活躍からも理解できる。今後は、トップアスリートが訴える主訴の背景にある心理的問題・課題等の分析を進めていき、心理サポートの普及・啓発を目指していきたい。