[09方-ポ-51] 演技の出来栄えに関する審判員の着眼点の抽出
トランポリン競技を対象に
採点競技では、人が「どのように見えたか」という演技の出来栄えを採点する。このような競技におけるトレーニング理論の構築や科学的支援の方法の確立のためには、そのスポーツパフォーマンスを構成する要素として、演技の出来栄えの採点につながる動きや事象、そしてそれらの具体的な評価基準を把握する必要がある。 発表者らのこれまでの研究により、採点競技種目は、採点の仕方によって3つのカテゴリー(身体運動減点型、定性相対評価型、混合評価型)に分類できることが分かっている。このうち身体運動減点型は、一つ一つの技について身体運動のみを対象に減点法にて採点するという特徴を有する。本発表では、身体運動減点型からトランポリン競技を選定し、そのスポーツパフォーマンスを構成する要素を把握するために、演技の出来栄えに関する審判員の着眼点を抽出することを目的とした。
方法としては、国際審判有資格者2名を対象に、半構造化面接法によるインタビューを実施した。インタビューでは、採点規則の中で演技の出来栄えの観点として示されている「各要素におけるフォームとコントロールの欠如」と「着地の安定性の欠如」について尋ね、インタビューデータを逐語化した後、審判員の演技の出来栄えに関する着眼点をリスト化した。
その結果、演技の出来栄えに関する審判員の着眼点として、「各要素におけるフォームとコントロールの欠如」では17項目が、「着地の安定性の欠如」では9項目が抽出されたが、その項目の中には採点規則において直接的に説明されていないものも複数見られた。 この結果から、トランポリン競技における演技の出来栄えの採点では、採点規則の中で直接的に説明されていない項目も採点の対象となる場合があることが示された。