[09方-ポ-55] 疾走速度および無酸素性能力の相違によるそり牽引走におけるキネマティクスの変化
【目的】本研究では、個別最適で疾走動作に特異的なトレーニングを開発することを目指し、疾走パフォーマンス、下肢筋力と最大無酸素パワーの相違がそり牽引走(RSS)のキネマティクスに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】参加者は、大学陸上競技部に所属する短距離走および混成競技を専門とする男子選手21名(身長:1.75±0.05 m,体重:67.57±44.92 cm)であった。参加者には、負荷なしと体重の20%、50%および80%の負荷を課した計4回の最大努力による60m走を行わせた。フィニッシュ地点側方にビデオカメラを設置し、疾走動作をパンニング撮影した。撮影した映像より、10m区間毎の疾走速度、ピッチおよびストライド長の平均値を算出した。加えて、スクワットの最大挙上重量(1RM)の測定と自転車エルゴメーター(風神雷神、大橋知創研究所)を用いた無酸素パワーテストを実施し、各測定より得られた60m走の疾走速度、体重あたりのスクワットの1RMおよび最大無酸素パワーを元に、それぞれ数値の大きい11名を上位群、小さい10名を下位群に分類した。【結果】60m走条件(上位群 7.47±0.12 sec, 下位群 7.74±0.08 sec)、スクワット条件(上位群 193.07±9.42 %BM, 下位群 159.45±13.66 %BM)および無酸素性パワー条件(上位群 16.3±1.1 W/kg, 下位群 14.1±0.9 W/kg)の全ての群分けにおいて、上位群および下位群ともにRSSの負荷の増加に伴い、10m区間毎の疾走速度、ピッチおよびストライド長の有意な減少が確認された。60m走条件およびスクワット条件では、下位群よりも上位群の方が高い疾走パフォーマンスであり、無酸素性パワー条件では、上位群と下位群の疾走パフォーマンスにほとんど変化がない、あるいは下位群に高い疾走パフォーマンスが確認された。