[09方-ポ-62] 女子円盤投におけるターンへの「入り」の動作に着目した指導について
円盤投においてターンの初期動作、すなわちターンへの「入り」の動作はそれに続く投てき動作に大きく影響するとされているが、「入り」の動作に着目した指導に関する研究は少ない。本研究では、試合における成功試技と失敗試技の「入り」の動作を比較することで、指導において着目すべき点および指導の効果を検討した。 競技会における女子円盤投選手7名の成功試技と失敗試技について3次元DLT法を用いて分析し、身体重心の速度、体幹の前傾角度、腰角度、肩角度、捻り角度、下肢関節角度などを比較した。またアンケートにより練習前後の選手の意識を調査した。その結果、成功試技では「入り」における体幹の前傾が大きいこと、投げ局面における身体の捻りや円盤速度増加量が大きいことがわかった。このことをもとにして、ターンへの「入り」において体幹の前傾を保つことを指導の着眼点の1つとして、女子円盤投選手3名を対象に技術的指導を行った。 その結果、全被験者において動作が成功試技の特徴に近いものに変化したが、改善後の記録には個人差がみられた。このうち、記録が向上した者は着眼点を理解し、意識して練習へ取り組んでおり、意図した動作をより強調することができたと考えられた。一方、記録が低下した者は体幹を前傾させる際に左膝の屈曲が大きすぎ、その後の動作の遂行を妨げており、「入り」の動作の習得が試行錯誤の段階であったと推察された。 これらのことから、ターンへの「入り」の動作へ指導を行う際には体幹の前傾に着目することが有効であると考えられる。