[03心-ポ-18] 競技中の自動思考とパフォーマンス向上にもたらす機能
大学生競泳競技者を対象とした質問紙調査
[目的]本研究では、大学生競泳競技者の競技中の自動思考と思考がパフォーマンスの向上にもたらす機能の関連を明らかにすることした。[方法]調査対象者は関西4大学の競泳競技部に所属する大学生107名(男性82名, 女性25名)とした。調査内容、フェイスシート(所属大学、性別、学年、競技年数、専門種目、ベストタイム)、スポーツ競技自動思考尺度(ATLS)(有富・外山, 2017)、Function of Self-Talk Questionnaire(FSTQ)(翻訳版)(山田ほか, 2014)であった。分析方法は、ATLSの4つの下位尺度「促進的教示」、「心配・懸念」、「後退・消極的姿勢」、「自信」と、FSTQ(翻訳版)の5つの下位尺度「努力」、「自動性」、「認知・感情コントロール」、「注意」、「自信」のそれぞれについて、Pearsonの積率相関係数を用いた相関分析を行った。 [結果・考察]競技中の自動思考を測定するATLSの下位尺度のうち「促進的教示」、「自信」が、思考がパフォーマンスにもたらす機能を測定するFSTQ(翻訳版)の全ての下位尺度との間で有意な正の相関が見られたが、競技中の自動思考「心配・懸念」、「後退・消極的姿勢」はどの項目においても関係が見られなかった。特に、「促進的教示」では「自動性」、「認知・感情コントロール」、「注意」、「自信」では「認知・感情コントロール」、「注意」にて中程度の正の相関が見られた。以上のことから、競泳競技者が競技中に行う自動思考のうち、自身に教示を与えるような思考である「促進的教示」、励ましなどモチベーションを高めるような思考である「自信」は競技中、感情をコントロールし、注意を集中させるという機能を果たし、それがパフォーマンスの向上に繋がっている可能性が示唆された。