[03心-ポ-22] サッカー選手における創造性とマインドワンダリング傾向の関係
サッカー等のチームスポーツにおいて、ゲーム課題を解決するために創造的な能力が重要視される。一般的な創造性は、現在行っている課題から注意が逸れて自発的な思考を行うマインドワンダリング(以下MW)と関連があることが明らかになっている。更に、MWの中にも意図的、非意図的の2種類が存在し、各々が創造性に与える影響は異なることが知られている。このような知見がある一方、スポーツ領域における両者の関係性は未だ明らかにされていない。また、スポーツ領域において、創造性はポジションや競技経験、性格特性との関連が深いことが報告されているが、これらの要因とMWの関係性は不明である。そのため、本研究では創造性、MW傾向、ポジション、競技経験及び性格特性の各要因間の関係性を検討することを目的とした。サッカーの競技経験(経験年数:13.8±2.6年)を有する大学生119名を対象に、基本属性を調査するアンケート調査、MW傾向や性格特性を測定する質問紙調査、創造性を測定するための一般的な創造性テストを実施した。その結果、日常⁄サッカー場面(プレーが一時的に切れた場面、ハーフタイム場面)の意図的⁄非意図的 MWの総計と、希少的独創性や流暢性(創造性の下位項目)との間に正の相関がみられた。また、日常場面では意図的MW傾向が非意図的MW傾向より有意に高いが、サッカー場面では非意図的MW傾向が意図的MW傾向より有意に高いことが示唆された。性格特性においては、外向性や開放性が創造性の各下位項目と正の相関があること、神経症傾向が非意図的MW傾向と正の相関があることが示された。以上から、1)各場面のMWの総計は創造性の一部の下位項目と関連すること、2)日常場面とサッカー場面でMW傾向が異なる可能性があること、3)創造性は外向性や開放性と関連があること、4)非意図的MW傾向は神経症傾向と関連があることが示唆された。