[05バ-ポ-01] 小学生の50m走における疾走速度変化の定量的評価に関する検討
本研究では、小学生の50m走における疾走速度変化を測定し、疾走速度変化の数式化による定量的な評価を試みた。被験者は全力疾走に支障のない健常な1年生から6年生の男子児童186名および女子児童172名であった。被験者には測定前に準備体操を行わせた後、実験試技としてスタンディングスタートからの50m走を1本行わせた。各被験者の実験試技において、被験者が疾走を開始してから終了するまでの被験者の疾走速度を、レーザー式速度測定器(LDM301S)を用いて100Hzで測定した。得られた時間―距離データおよび時間―速度データを元に、先行研究(Furusawa et al., 1927; Prendergast, 2001; Samozino et al., 2016)で提案された理論式および手法による疾走速度変化の数式化を行った。数式化の手続きにより、数式に含まれる指数や係数の値を算出した。また、得られた疾走速度変化の数式を微分することで、疾走中の加速度や発揮された力、パワーの時間変化も算出した。合わせて、疾走速度変化の様態に関する各変数(最大疾走速度とその到達距離および到達時間、加速・疾走・維持の各局面の距離および時間)を算出した。分析の結果、学年が大きいと疾走タイムは有意に短く、最大疾走速度は有意に大きかった。これらに加え、疾走速度変化の様態に関する各変数と数式に含まれる指数や係数の値および疾走中に発揮された力やパワーとの関係について、検討を行った。