[04生-ポ-15] 大学生における入浴が睡眠の質や疲労度に及ぼす影響
【目的】睡眠不足は無気力、やる気の低下、疲労感、不安感、感情障害などを引き起こし、大学生において、睡眠の問題が学業成績の悪さや健康に有意に関係するという報告がなされている。本研究では大学生における睡眠前の入浴条件による体温、睡眠の質、主観的疲労度の変化を明らかにすることを目的とした。【方法】被験者は東京都内私立大学の大学生10名とした。介入は浴槽に浸かる入浴(バスタブ)・入浴剤入りの浴槽に浸かる入浴(入浴剤)・シャワーのみによる入浴(シャワー)の3種類とし、それぞれ1週間ずつ無作為順で実施した。3種類の介入後に体重・体組成を測定し、主観的疲労度のアンケートを実施した。介入期間中、フィットネスリストバンドを装着し、睡眠の質と身体活動量を測定した。3種類の介入の測定値の比較は、一元配置の分散分析を行い、主効果に有意差がみられた場合、多重比較にて事後検定を行った。【結果】体重、体組成、除脂肪量、骨格筋量、体脂肪率、細胞外水分率、歩数・消費エネルギー量は、3種類の介入による有意差はみられなかった。主観的疲労度はシャワーと比べて入浴剤で低くなる傾向がみられた。入浴後体温では、バスタブと入浴剤でシャワーと比べて高かったが、睡眠前体温では、入浴剤のみがシャワーより高い傾向がみられた。入浴剤では、入浴後から就寝まで高い体温が保持されて質の高い睡眠につながったと推察される。シャワーで合計の睡眠時間が増加したが、浅い睡眠時間だけが伸び、睡眠の質は下がり、主観的疲労度はむしろ増加傾向にあることがわかった。【結論】シャワー浴は全身浴に比べ睡眠時間を長く確保できるが、浅い睡眠時間のみが増え、睡眠の質は向上せず、主観的疲労度が増加することがわかった。入浴剤入りの入浴をすることにより、入浴後から就寝するまで体温を高く保持することができ、質の高い睡眠につながることが示唆された。