[08測-ポ-11] 高齢者における開眼片脚立ちと総死亡との関連
コホート研究
【目的】開眼片脚立ちは、フィールドでの測定が容易なバランス能力の評価法の一つである。いくつかの先行研究において、開眼片脚立ちの成績と死亡リスクとの関連が報告されているが、日常生活での身体活動や下肢筋力などの他の保護因子とは独立して、両者に関連性が認められるか否かを検討した報告は見当たらない。【方法】71歳の高齢者419名(男性228名、女性191名)を対象に最長11年間の追跡を実施した。ベースライン調査時において、開眼片脚立ち、日常生活での身体活動、および下肢筋力を測定した。開眼片脚立ちは、120秒を上限として片脚起立時間を左右1回ずつ測定した。日常生活での身体活動は、1週間の連続した歩数計の装着によって得られた1日の総歩数の平均値で評価した。下肢筋力は、椅坐位姿勢による膝関節角度を90度とした際の等尺性の膝伸展力で評価した。得られた開眼片脚立ちデータの分布から対象者を四分位に分類し、開眼片脚立ちの値が最も短い第1四群位群を基準として、他の群の全死亡のハザード比(95%信頼区間)を算出した。【結果】追跡期間中に76名(男性60名、女性16名)が死亡した。開眼片脚立ちと1日の総歩数、および開眼片脚立ちと膝伸展力のピアソンの積率相関係数は、それぞれ0.100、および0.316であった。交絡因子を調整した多変量調整ハザード比は、第2四分位群は0.482 (0.26-0.89)、第3四分位群は0.291 (0.15-0.56)、第4四分位群は0.363であった(傾向性p<0.05)。交絡因子に加えて、歩数、および膝伸展力を調整した解析においても、同様の関連の強さが観察された。【結論】開眼片脚立ちは、日常生活の身体活動や下肢筋力とは独立した死亡に対する危険因子である可能性が示唆された。