The 73rd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Poster (Subdiscipline)

専門領域別 » 測定評価

測定評価(奇数演題)/ポスター発表

Fri. Sep 1, 2023 12:50 PM - 1:20 PM RY208 (良心館2階RY208番教室)

[08測-ポ-25] 剣道の応じ技局面における選択的反応戦略の相違

*Kenshiro Matsuzaki1, Takahiro Nabeyama2, Yuji Arita2, Seiji Ono2, Tomohiro Kizuka2 (1. Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba, 2. University of Tsukuba)


剣道競技に求められる反応には、単に素早い反応だけでなく、反応動作を成功させるための高い正確性も含まれる。特に、相手の技を防ぎつつ自身の技を完了させる応じ技について、その反応戦略の違いに熟練差が生じる可能性がある。本研究では、剣道の応じ技動作を用いた選択反応課題における反応時間と正確性、尚早反応の有無に着目した。本研究の目的は、これらの特性が実際の攻防場面における反応戦略に及ぼす影響について、競技レベルの異なる群間の相違を検討し、効果的な反応戦略に関する基礎的知見を得ることであった。 反応課題については、剣道の実践的な競技場面を想定し、映像内の元立ちに対する面返し胴および小手返し面を用いた選択反応課題を実施した。その結果、打突に直結する反応を指す本反応時間において、競技レベルの高い上位群が下位群に比べて有意に短い値を示した。一方で、尚早反応を含む第1反応時間は、両群の間に統計的な有意差は確認されなかった。また、上位群は尚早反応、誤反応ともに有意に少なかったが、下位群は尚早反応、誤反応ともに多かった。 本研究における競技レベルの高い剣道選手は、全身反応の短縮によって素早い反応を可能にするが、単に素早く反応するのではなく、素早くかつ正確に反応するための反応戦略を有していた。例として、上位群の選手は尚早反応の抑制によって反応修正を不要とし、いつでも打てる反応戦略を有効に用いていることが示された。一方で、競技レベルの低い剣道選手は、剣道競技に求められるレベルでの素早い反応が難しく、それに加えて正確な反応選択を可能にする十分な戦略も有していなかった。具体的には、尚早反応による動作修正が打突の機会を遅らせること、経験知の欠如によって効果的な予測を立てられないことも影響している可能性がある。