[08測-ポ-27] 急停止時におけるストップパフォーマンスと体力・運動能力との関係
本研究は,ストップ動作(加速走からの急停止)と体力・運動能力との関係を明らかにすることを目的とした。対象者はバスケットボール競技者である男子大学生12名とした。対象者は,加速走から急停止(ストップ)を実行するストップ課題と体力・運動能力測定(20m走,10m切換走,立ち幅跳び,反復横跳び,ドロップジャンプ課題,およびランディング課題)を実施した。ストップ課題は2条件(任意,反応)実施した。任意条件では,準備動作が可能となるようにストップタイミングは対象者自身でコントロールした。反応条件では,準備動作が不十分となるようにストップタイミングを光刺激でコントロールした。ハイスピードカメラで撮影したストップ動作を基に,マーカーレス骨格検出ソフトウェアを使用して動画データから対象者の身体部分点を抽出し,これを二次元DLT法により二次元座標(進行方向をX,上下方向をY)に再構築した。ストップ課題において,停止しようとして歩幅が明らかに小さくなった踏み出しの直前の一歩をブレーキ脚,停止前の最後の一歩に踏み出した脚をストップ脚と定義した。ブレーキ脚接地時の右股関節中心とストップ脚接地時の右股関節中心のX座標の差を制動距離として算出し,ストップ課題のパフォーマンス指標とした。制動距離と体力・運動能力の関係を検討するために,Pearsonの積率相関係数rを算出した。分析の結果,ストップ課題における制動距離と全ての体力・運動能力測定項目との間のPearsonの積率相関係数に有意性は認められなかった。一方,優れたストップ動作とランディング課題から得られた最大床反力の値に関連性が認められたことから,加速走から急停止する能力において,体力・運動能力からの影響は小さく,ストップの特異的なスキルに依存することが示唆された。