[08測-ポ-04] 高齢者における反応バランステストと身体機能との関連性
転倒回避動作には敏捷性(外乱に対する素早い反応)や平衡性(反応後の姿勢制御能力)が必要であるものの、これらは単一の転倒関連体力のみで評価していることが多い。我々は敏捷性と平衡性の2つの観点から転倒回避能力を一連の動作で評価するテスト(以下、反応バランステスト)を考案し、転倒リスクが大きいほど反応バランステストが低下していることを明らかしてきた。しかしながら、反応バランステストとその関連要因については検討できていないため、本研究では反応バランステストと身体機能との関連性を検討した。
被験者は地域在住高齢者20名(80.5±5.9歳)とした。反応バランステストは重心動揺計上で立位姿勢をとり、光刺激後に素早く片脚を挙げ、その後、10秒間の片脚立ち姿勢を保持した。評価変数は敏捷性が片脚挙上時間(光刺激発生から片脚を挙上するまでの時間)、平衡性がcenter of pressure 10(以下、COP10)(10秒間のCOP変数)とした。左右それぞれで3試行実施し、3試行の平均値を代表値とした。身体機能には椅子立ち上がりテスト、ファンクショナルリーチテスト、2ステップテスト、足指把持力、10m歩行(通常歩行と全力歩行)を測定した。
反応バランステストと身体機能との関連を検討した結果、敏捷性と立ち上がりテストに有意な関連がみられた。また、平衡性は椅子立ち上がりテスト、ファンクショナルリーチテスト、2ステップテスト、10m歩行と有意な関連がみられたものの、変数によって関連がみられる項目が異なることが確認された。したがって、反応バランステストは複合的な能力を評価できる可能性が示唆された。