[08測-ポ-24] ヘッドマウントディスプレイを用いた視覚映像刺激が静止立位姿勢における足圧中心動揺変数に及ぼす影響
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着して仮想現実を視聴させることで様々な視覚映像刺激を加えることができる。本研究では、屋外の公園を映した映像を記録し、HMD装着の上で視聴させた際の立位姿勢における足圧中心動揺変数への影響を検討した。対象者は健康な女子学生15名(年齢21.9±0.5歳、身長161.6±5.0 cm、体重55.3±5.8 kg)であった。HMDはスマホ用VRゴーグル(視野角110度、スマホ対応)とし、スマホ(iPhone 8)を装着して視聴させた。視覚刺激の条件は静止画、ピッチ動画、ヨー動画、ロール動画(揺れ周波数0.4~0.45 Hz,揺れ角度20~25°)とし、各条件をランダムで提示した際の足圧中心動揺データを記録した。対象者は重心動揺計の上でロンベルグ姿勢(直立閉足位)を取り、HMDに映し出しされた各映像を35秒間視聴した。動揺変数は視聴開始5秒後から35秒までの30秒間のデータを用いた。測定項目は外周面積、単位軌跡長、単位面積軌跡長、総軌跡長であった。日差変動(日間信頼性ICC)は、1日目の測定から7~10日後に再測定を行って測定値を比較検討した。その結果、静止画では単位軌跡長と総軌跡長、ピッチ動画では外周面積、単位軌跡長、単位面積軌跡長、総軌跡長のICCは0.7以上となったが、ヨー動画とロール動画ではICCは0.224~0.693と良好ではなかった。視覚映像による刺激は、外周面積、単位軌跡長、総軌跡長ではロール動画>ヨー動画>静止画>ピッチ動画の順に大きく、単位面積軌跡長はロール動画<静止画<ヨー動画<ピッチ動画の順に小さかったが、すべてに有意差は認められなかった。以上のことから、本研究のHMD装着による視覚映像刺激は、静止画や動画条件で足圧中心動揺変数への影響に差はなく、その変数によっては日差変動が大きくなることが明らかにされた。