[08測-ポ-30] ソフトボールを用いた正確性遠投課題の有用性の検討
教育場面だけでなく研究場面においても、投能力テストを実施する際、多くの場合でソフトボール投げが用いられている。しかし、ドッジボールやソフトボールなどの球技においては、遠投力だけでなくスピードや正確性も同時に必要である。 そこで本研究では、ソフトボール投げ課題の成績と正確性遠投課題の成績を比較することで正確性遠投課題の有用性を検討した。大学女子ソフトボール部に所属する選手21名と投動作を伴う競技経験の無い一般女子大学生10名を対象として、遠投能力と正確に投げる能力を測定評価するために、ソフトボール投げ課題と正確性遠投課題を行った。正確性遠投課題は、投方向に引かれた一本の白線上を狙って、ソフトボール投げ課題と同様に、できるだけ遠くに投げることを求めた。評価方法は、ボールの落下地点から白線までの垂線距離を、実測した投距離から引いた値とした。ソフトボール投げ課題の成績から、上位群、中位群、下位群に群分けを行い、各課題間の関係性を検討するため、全対象者(全体)および各群内においてPearsonの積率相関分析を行った。その結果、正確性遠投課題とソフトボール投げ課題において、全体(r =0.98)、上位群内(r =0.87)および下位群内(r =0.96)において有意な相関関係が認められた。一方で、中位群内(r =0.58)においては有意な相関関係が認められなかった。中位群はソフトボール投げ課題の成績に差が少ないため、正確性遠投課題において順位が変動した。これは正確性を意識すると遠投能力が低下する、遠投能力は維持されるが正確性が低下するなどの正確性遠投課題における特性によるものであると推察される。これらのことから、ソフトボールを用いた正確性遠投課題は、中位群のような対象者において、送球が重要な球技における遠投力、正確性等が同時に求められる投能力を複合的に測定評価できる課題であると示唆された。