[11教-ポ-11] 中学校体育授業における自己調整学習に関する研究
ふりかえりフィードバックルールを活用して
現在,文部科学省(2017)は,「『主体的・対話的で深い学び』の視点で,授業改善を行い,学習の質を一層高め,生涯にわたって能動的に(アクティブに)学び続けられるようにすること」を各教科において求めている.その中の「主体的な学び」について,溝上(2017)は「主体的な学び」には三段階あり,学校教育では自己調整学習型の「主体的な学び」が求められているとしている.自己調整学習とは,Zinmmerman(1986)により「学習者が,自分自身の学習過程の中で,メタ認知的に,動機的に,行動的に能動的に関与していること」と定義され,この自己調整学習の獲得には, (Ⅰ)予見段階, (Ⅱ)遂行コントロール段階, (Ⅲ)自己省察段階の三つの段階を循環的に作用させることが必要である.その中でも,生徒が学習したことをふりかえり,次の学習での課題を発見し,目標立てていく(Ⅲ)自己省察段階は重要な段階であると考える.しかし,自己調整学習に関して,体育授業の中で,自己調整学習理論を用いて実践を行っている研究は少ない.そこで,本研究は自己調整学習の「自己省察段階」に着目し,(Ⅰ)生徒のふりかえり記述のレベルの向上と維持,(Ⅱ)生徒がふりかえりの記述レベルの向上を,予見段階につなげるための支援方法を検討することを目的とし実践を行った. 対象はA県B義務教育学園の第8学年の生徒16名を対象とし,器械運動マット領域において,自己調整学習を意図した全8時間の授業実践を行った.また,目的(Ⅰ)(Ⅱ)の達成のため,毎時間のふりかえりに対して,ふりかえりの書き方についてのフィードバックルールを定め,フィードバックを与えることで,生徒の自己調整学習のサイクルが循環するよう指導した.そこで,本発表では,この実践を通して得られた成果,今後の研究の課題について具体的に報告していく.