[11教-ポ-21] 日本の保健体育科教員養成課程の体育実技科目における内容的知識の検討
大学バレーボール授業のシラバスにおける記載内容から
教科の知識は、学習者へ教えるための重要な基礎となる(Grossman et al.,2005)。しかし、教育現場では全ての保健体育科教員が教材内容について正確な知識を持っているとは言い難い。荻原ら(2008)の中学生を対象にしたバレーボールの知識に関する研究では、正しい知識が習得できていない可能性、教員による技術指導がされていない可能性、が示唆された。 他方で、Tsuda et al.(2019)は、日本の教員養成課程の大学生の専門的な内容の知識(Specialized content knowledge以下、SCK)について調査を行い、意図的なSCKの育成が必要であると指摘した。また、Tsuda et al.(2019)では、米国の研究において、教員養成課程の大学生は、体育や課外授業の経験から中程度の共通的な内容の知識(Common content knowledge以下、CCK)を獲得するが、SCKを充分に獲得できていないことが明らかとなり、SCKを特別に教えない限り、知識の獲得に繋がらないと報告していた。したがって、教育現場で体育授業の学習成果を保障するためには、教員養成課程の大学生においても、大学の体育実技科目の授業でCCKのみを身に付けるだけではなく、SCKを身に付ける授業内容が必要である。しかし、現段階において、日本の保健体育科教員養成課程を置く大学における体育実技科目の授業内容は整理されていない。 以上を踏まえ、本研究では、保健体育科教員養成課程を置く大学の体育実技科目「バレーボール」の授業のシラバスを収集し、CCKとSCKの向上に繋がる内容がどの程度含まれているか調査を行うこととした。バレーボールの授業は、競技歴や指導経験の浅い教員は、技術指導に結びついていかない(久保田、2020)という指摘があることから対象とした。結果については当日資料において説明する。