The 73rd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

Presentation information

Poster (Subdiscipline)

専門領域別 » アダプテッド・スポーツ科学

アダプテッド・スポーツ科学/ポスター発表

Fri. Sep 1, 2023 2:00 PM - 3:00 PM RY431 (良心館4階RY431番教室)

[13ア-ポ-05] ドイツ柔道連盟が展開する『TAISO』の指導理論について

*Akitoshi Sogabe1, Maja Sori Doval2 (1. Konan University, 2. Tsuda University)


世界における高齢化(65歳以上の人口の占める割合)をみてみると、日本が突出して高く28.6%(2020年)であり、次いで欧州のドイツの21.8%、フランスが20.8%となっている。今後、更に高齢化は進行することが考えられ、中高年を対象とした健康増進、QOLの向上、医療費削減など、国家レベルで取り組むべき課題は多い。その中で、ドイツやフランスでは各柔道連盟を中心に『TAISO』という日本の体操をモデルとした健康増進事業を展開している。このように、日本の身体運動モデルを利用した施策が行われているにも関わらず、我が国においてはこれらの施策についてほとんど知られていない。そこで、本調査ではドイツ柔道連盟が展開し始めた『TAISO』の指導理論を調査することで、我が国の中高齢者に対する健康増進に対する取り組みの参考としたい。  2023年5月17日~21日にドイツのバッドエムスで開催されたドイツ柔道連盟主催のJUDO FESTIVALに参加し情報収集を行った。また、ドイツ柔道連教育普及委員長より『TAISO』に関する説明を受け、指導理論についてのインタビューを行った。  『TAISO』は、日本の体操や柔道の創始者である嘉納治五郎の概念を取り入れ、単独でも実施できる健康増進方法である。中でも1927年に嘉納治五郎が発表した「精力善用国民体育」という国民の健康増進を目的とした体操が導入されており、指導プログラムにも反映されている。しかしながら、我が国ではこの体操は柔道経験者であってもほとんど目に触れることがない。  日本発祥の様々な身体運動が、我が国では実施されず欧州で健康増進施策の一つとして利用されていることは非常に興味深い。欧州で発展している日本「体育」を再考し、再学習することで我が国でも利用出来るのではないかと考える。