[09方-ポ-08] 過疎地域のスポーツクラブにおけるICT機器を活用した遠隔コーチング
コーチは技術的・戦術的な指導だけでなく,身体的・社会的に人を成長させることなど多様で重要な役割を担っている.少子化と高齢化が顕著である地域の現状を鑑みれば,スポーツに関わる人材を十分に確保することが困難な状況にある.今日では通信技術の発展により,ICT機器を活用した有識者による遠隔指導を実施する動きが著しく行われ,遠方のコーチから指導を受ける機会が増加している.しかし,身体活動を伴う指導は対面形式での指導を前提としており,遠隔指導では従来とは異なる指導方法を模索的に実践することが求められている.また,実践現場における有用な知見を導くためには,コーチのコーチング活動だけでなく,指導者の思考・決断過程を含めたコーチング活動の知を科学的に研究することの必要がある.現場のコーチを支える知を獲得するためには省察が重要な役割を担っている.よって,現場で生じる種々の問題の解決において,継続的な挑戦過程や成果,新たな課題についての議論を省察し共有する必要があると考えた.そこで本研究の目的は,ICT機器を活用した遠方への運動指導を改善していく過程で明らかとなった問題の解決を目指したコーチング行動を省察することからみえるコーチの学びの抽出を検討することである. 実践された遠隔指導の様子を撮影したビデオや現場でのコーチングを詳細に記録したコーチング日記をもとに,アクションリサーチを含めた省察行動を実践しコーチング行動の改善を促す.過疎地域で行われている小学生を対象とした民間のスポーツクラブに外部コーチとしてWeb会議ツールを用いた遠隔指導を中心に指導している.コーチの画面越しの環境における指導内容について着目し,省察行動の過程を報告する.