[09方-ポ-18] 足関節捻挫既往歴者におけるDrop Vertical Jump着地動作によるストレス反応の評価
ジャンプ条件による唾液アミラーゼ活性の比較
緒言
スポーツで発生する外傷は大きなストレスに繋がり、パフォーマンスの低下に大きく影響する可能性が考えられる。下肢のスポーツ外傷の中でも足関節捻挫は最も頻発する傷害であり、加えて、再発率が高いことから、アスリートが継続的に患部にストレスを抱えやすいことが予想される。しかしながら、足関節捻挫既往歴を有する大学生アスリートの足関節への負荷とストレス(唾液アミラーゼ活性)の関係性については未だに不明な点が多い。 そこで本研究では、既往歴側の足関節に様々なジャンプ条件で運動負荷をかけた際の唾液アミラーゼ活性値を評価することで、DVJを伴う繰り返しの動作がどのようにトレーニングに活用できるかを検討することとした。
方法
被験者の対象は、本学体育会運動部に所属している女性アスリート13名とした。事前に足関節捻挫既住歴の調査として慢性足関節不安定症(chronic ankle instability:CAI)チェックリスト等を使用して、被験者を健常群とCAIに群分けした。唾液アミラーゼは合計で4回計測した。その計測は20cmの台から降下後垂直飛び(drop vertical jump:DVJ)を行う前、その後10回、20回、30回のDVJ後に実施した。また、いくつかのDVJの条件課題を実施した。
結果
本研究の結果、健常群の唾液アミラーゼ活性値は、DVJの回数増加に伴い低い値を示したが、CAI群は20回終了後上昇し、30回終了後は最も低い値を示した。
考察
CAI群の唾液アミラーゼ活性は、いずれのジャンプ回数もストレス域として設定されている数値よりも低い値を示した。したがって、30回のDVJを伴う繰り返しの動作はCAIを有する大学生アスリートにとって精神的ストレスに繋がるようなトレーニング負荷ではないと考えられる。 今後は、どの程度の負荷がトレーニングとして有効であるかを検討することが求められる。