[ML-4] う蝕と歯周病撲滅は人類の願い,歯科界からおきるいのちの革命
研修コード:2112
略歴
1969年3月 日本歯科大学卒業
1973年3月 日本歯科大学大学院歯学研究科(歯科理工学専攻)修了
1973年6月 日本歯科大学口腔外科学第1講座助手
1974年4月 日本歯科大学歯科麻酔学教室助手
1996年5月 日本歯科大学歯学部共同利用研究所教授(歯科麻酔学併任)
2001年4月 日本歯科大学歯学部附属病院長
2008年4月 日本歯科大学生命歯学部長
2013年4月 日本歯科大学名誉教授
2013年7月 日本歯科医学会会長(現在に至る)
2016年4月 (一社)日本歯科医学会連合理事長(現在に至る)
1969年3月 日本歯科大学卒業
1973年3月 日本歯科大学大学院歯学研究科(歯科理工学専攻)修了
1973年6月 日本歯科大学口腔外科学第1講座助手
1974年4月 日本歯科大学歯科麻酔学教室助手
1996年5月 日本歯科大学歯学部共同利用研究所教授(歯科麻酔学併任)
2001年4月 日本歯科大学歯学部附属病院長
2008年4月 日本歯科大学生命歯学部長
2013年4月 日本歯科大学名誉教授
2013年7月 日本歯科医学会会長(現在に至る)
2016年4月 (一社)日本歯科医学会連合理事長(現在に至る)
「歯周病撲滅は人類の願望」といわれる。ペットの話で恐縮だが,いまやイヌの歯周病も大問題となっており,関連グッズが多種多様に売られている。イヌは自己管理できないが,それができるヒトでさえ歯周病で悩んでいる,歯がある動物すべからく罹患する非常に手ごわい疾患ということなのであろう。歯の喪失の二大因子であるう蝕と歯周病は,歯科として誠に重要なテーマといえる。
日本歯周病学会は60周年記念大会において,歯周病撲滅をスローガンとしている。歯科は公的医療保険制度において突き詰めるとCとP,すなわち,う蝕と歯周病だけだという話から,今日,より高い医療評価の獲得を目指して口腔機能に着目している。このことはもちろん重要である。しかし,う蝕,歯周病の予防ワクチンや治療薬の出現は,世界中で持たれている願望である。う蝕にならない薬剤が開発されたといわれて久しい。しかしう蝕を減らす薬剤は世に出てきても,う蝕の予防ワクチンは,医療の現場にはない。医科は生命の医療,歯科は生活の医療と分類していわれるが,慢性疾患の歯科疾患は生命をも脅かす。生活習慣病NCDsと歯周病との関わりは徐々に明らかにされているところだが,予防と重症化予防というのであれば,より積極的に歯の保存から始めるべきであろう。これらの観点から考えても,う蝕,歯周病の予防ワクチンや治療薬の開発は,歯科が医学・医療の体系としてスタートしたときからの研究テーマであり,ここにこそ全力を注がなければならない。
私が日本歯科医学会会長に就任した時のスローガンは「歯科界から初のノーベル賞受賞者を輩出しよう」である。もし,上述のような薬剤が世に出されたら,ノーベル賞候補として間違いなく取り上げられ,小さいといわれて久しい歯科用薬剤の販売市場は,世界中を対象とすることになるだろう。
日本歯周病学会の会員は1万人を超え,43の分科会で3番目に多い。それだけ歯科医療関係者から注目されているということだ。他の分科会も歯周病への対応について展開しており,国民市民を対象にした公開講座を学術大会のプログラムに組み込むなど,いわゆる啓発活動は十分にいきわたってきている。そして,この領域における再生歯科医療への取組も急ピッチで進んでいる。現在の歯科界全体で,歯周病疾患に対する取り組みが非常に大きなウエイトを占めていることになる。
日本歯科医学会としての役割は,以上の課題についての協働の形と,研究から臨床現場に展開できる仕組みの周知など,さまざまにコーディネートしていくことにあると考えている。それは歯科だけで展開するのではなく,臨学産官民で取り組むべき重要な課題である。猶予はできない。
このようなことが実現すれば,現在の歯科医療体系を大きく変更したり新規の対応が求められるようになるが,学会の使命として常にそこに寄り添うことで,社会的貢献をしていきたい。
日本歯周病学会は60周年記念大会において,歯周病撲滅をスローガンとしている。歯科は公的医療保険制度において突き詰めるとCとP,すなわち,う蝕と歯周病だけだという話から,今日,より高い医療評価の獲得を目指して口腔機能に着目している。このことはもちろん重要である。しかし,う蝕,歯周病の予防ワクチンや治療薬の出現は,世界中で持たれている願望である。う蝕にならない薬剤が開発されたといわれて久しい。しかしう蝕を減らす薬剤は世に出てきても,う蝕の予防ワクチンは,医療の現場にはない。医科は生命の医療,歯科は生活の医療と分類していわれるが,慢性疾患の歯科疾患は生命をも脅かす。生活習慣病NCDsと歯周病との関わりは徐々に明らかにされているところだが,予防と重症化予防というのであれば,より積極的に歯の保存から始めるべきであろう。これらの観点から考えても,う蝕,歯周病の予防ワクチンや治療薬の開発は,歯科が医学・医療の体系としてスタートしたときからの研究テーマであり,ここにこそ全力を注がなければならない。
私が日本歯科医学会会長に就任した時のスローガンは「歯科界から初のノーベル賞受賞者を輩出しよう」である。もし,上述のような薬剤が世に出されたら,ノーベル賞候補として間違いなく取り上げられ,小さいといわれて久しい歯科用薬剤の販売市場は,世界中を対象とすることになるだろう。
日本歯周病学会の会員は1万人を超え,43の分科会で3番目に多い。それだけ歯科医療関係者から注目されているということだ。他の分科会も歯周病への対応について展開しており,国民市民を対象にした公開講座を学術大会のプログラムに組み込むなど,いわゆる啓発活動は十分にいきわたってきている。そして,この領域における再生歯科医療への取組も急ピッチで進んでいる。現在の歯科界全体で,歯周病疾患に対する取り組みが非常に大きなウエイトを占めていることになる。
日本歯科医学会としての役割は,以上の課題についての協働の形と,研究から臨床現場に展開できる仕組みの周知など,さまざまにコーディネートしていくことにあると考えている。それは歯科だけで展開するのではなく,臨学産官民で取り組むべき重要な課題である。猶予はできない。
このようなことが実現すれば,現在の歯科医療体系を大きく変更したり新規の対応が求められるようになるが,学会の使命として常にそこに寄り添うことで,社会的貢献をしていきたい。