[CS2-2] 歯周病と関節リウマチ-コホート研究からの知見と課題-
研修コード:2504
略歴
2000年 京都大学医学部 卒業
2000年 京都大学医学部附属病院 内科研修医
2001年 国立病院機構京都医療センター 総合内科医員
2004年 京都大学大学院医学研究科・臨床免疫学講座
2008年 大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任研究員
2011年~現在 京都大学医学部附属病院リウマチセンター 特定助教
京都大学大学院医学研究科・リウマチ性疾患先進医療学講座 特定助教
資格
日本内科学会 総合内科専門医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
2000年 京都大学医学部 卒業
2000年 京都大学医学部附属病院 内科研修医
2001年 国立病院機構京都医療センター 総合内科医員
2004年 京都大学大学院医学研究科・臨床免疫学講座
2008年 大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任研究員
2011年~現在 京都大学医学部附属病院リウマチセンター 特定助教
京都大学大学院医学研究科・リウマチ性疾患先進医療学講座 特定助教
資格
日本内科学会 総合内科専門医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医

京大病院リウマチセンターと歯科口腔外科(別所和久教授)の共同研究グループは,約1万人の健常人を対象とした疫学調査(ながはまコホート)のデータを解析し,RAを発症していない健常人の1.7%にACPAが検出されるが,この抗体の有無や力価と歯周病の臨床評価との間に有意な相関が認められることを示した。また,京大病院リウマチセンターを未治療,未診断で受診した72名の関節痛患者の歯周病状態を評価し,それらの患者の追跡調査を行った結果,初診時に歯周病をもつ関節痛患者は,歯周病をもたない関節痛患者に比較して,その後RAと診断され抗リウマチ治療を開始されるリスクが約2.7倍高くなることを見出した。なお,歯周プラークにおけるP.gingivalisの有無との相関もみてみたが, P.gingivalisとの相関はみられず,臨床的に歯周病に罹患していることが重要と考えられた。
これらの研究結果は,歯周病の罹患がACPAの産生やRA発症の誘因となる可能性を示唆している。一方,本研究では P.gingivalisとの相関は示されなかったが,他の報告でもP.gingivalisとACPAやRAとの相関についての評価は定まっていない。近年,P.gingivalis以外にも,Prevotella copriが早期RA患者の細菌叢で増加しており,Th17細胞の誘導を介してRAの発症に寄与するとの説や,Aggregatibacter actinomycetemcomitansが,ヒト好中球の内在性のシトルリン化酵素の活性化を介してACPAの産生に寄与するなどの興味深い報告もなされている。
本講演では,近年のコホート研究から得られた歯周病とRAに関する最新の知見を紹介するともに,今後の研究課題についても考察したい。