60th Annual Meeting in Autumn

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臨床(認定医・専門医)ポスター

リスクファクター関連

臨床(認定医・専門医)ポスター
リスクファクター関連

Sun. Dec 17, 2017 9:00 AM - 4:50 PM ポスター会場 (さくら)

DP-04~DP-07
(ポスター討論:12:00~12:50)

[DP-04] 重度の薬物性歯肉増殖症患者から学ぶ医科歯科連携の重要性

Importance of Cooperation between Medical and Dental Care through a Patient with Severe Drug-induced Gingival Overgrowth

菅野 真莉加,山本 松男/Marika Sugano,Matsuo Yamamoto (昭和大学歯学部歯周病学講座/Department of Periodontology Showa University School of Dentistry)

研修コード:2499

Keywords:薬物性歯肉増殖症、歯肉切除術、免疫抑制剤、医科歯科連携

【症例の概要】59歳,女性。初診日:2016年3月。主訴:右下奥歯が揺れて痛い。現病歴:2週間前から右下7の揺れが大きくなってきて痛くて噛めない。既往歴:30代から高血圧症を発症,腎不全を経て11年前に腎移植手術を受けた。免疫抑制剤とCa拮抗薬の内服を継続中。
【治療方針】1)かかりつけ医への対診 2)歯周基本治療 3)再評価 4)歯周外科治療 5)再評価 6)口腔機能回復治療 7)再評価 8)SPT
【治療経過】まず患者教育として病態についての説明と口腔衛生指導を行うとともに,かかりつけ医への照会を行った結果,2016年4月末から免疫抑制剤がシクロスポリンからタクロリムスに変更となった。主訴である右下7は保存不可と判断して抜歯。その後SRPを上下顎2回に分けて実施した。薬剤の変更から歯肉増殖は徐々に改善を認めたが,再評価時にまだ深いポケットと線維性に増殖した歯肉が認められたため,歯周外科が必要と判断し,2016年10月に最も重篤な下顎前歯部に対し切除療法を行った。術後1年経過時点で歯肉増殖の再発傾向は認めず,良好なセルフケアも維持できている。
【考察および結論】本症例を通じて,薬物性歯肉増殖症の患者に対して医科との共通認識を持つことの重要性を改めて実感させられた。医科で全身疾患に対する治療が優先されるのは当然であるが,患者のQOLを低下させるような口腔症状に対する理解が依然として不十分であることも事実である。今回,早期の照会によってかかりつけ医に薬物の副作用による口腔内症状について知ってもらう機会を作り,結果的に薬剤の変更を実現できたことが良い経過に繋がったものと考える。