60th Annual Meeting in Autumn

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臨床(認定医・専門医)ポスター

歯周組織再生療法

臨床(認定医・専門医)ポスター
歯周組織再生療法(侵襲性歯周炎)

Sun. Dec 17, 2017 9:00 AM - 4:50 PM ポスター会場 (さくら)

DP-15~DP-20
(ポスター討論:12:00~12:50)

[DP-15] ディシジョンツリーに従い様々な切開法を選択した歯周組織再生療法後,歯周環境改善に伴い生じたう蝕傾向に対応した広汎型侵襲性歯周炎の一症例

A case of generalized aggressive periodontitis dealt with the caries tendency after periodontal regenerative therapy made choice of incision technique according to the decision tree

岩野 義弘1,2,清水 里香1,長谷川 桃1,佐藤 秀一2/Yoshihiro Iwano1,2,Satoka Shimizu1,Momo Hasegawa1,Shuichi Sato2 (岩野歯科クリニック1,日本大学歯学部歯科保存学第Ⅲ講座2/Iwano Dental Clinic1,Department of Periodontology, Nihon University School of Dentistry2)

研修コード:2504

Keywords:歯周組織再生療法、ディシジョンツリー、う蝕傾向、細菌叢

【症例の概要】患者:38歳女性,初診日:2014年10月24日,主訴:歯茎が腫れ,膿が出ていて気になる,喫煙歴:12本/日18年間,診断名:広汎型侵襲性歯周炎
【治療方針】1)歯周基本治療2)再評価3)歯周外科治療:エムドゲインを用いた歯周組織再生療法4)再評価5)口腔機能回復治療6)再評価7)SPT
【治療経過・治療成績】歯周基本治療中に禁煙は達成できた。歯周組織再生療法はCortelliniらのディシジョンツリーに従い,歯間部幅が2mm以上ある場合はMPPT,2mmより狭い場合はSPPF,骨欠損範囲が狭い場合はMISTに従った切開を選択し,骨欠損角度が広い場合は骨移植術を併用した。歯周外科治療後6ヵ月以上経過した再評価時,プロービングデプスは全て3mm以下であり,PCR,BOPともに安定していたが,CEJ付近の根面にう蝕が発症した。食習慣改善指導と併せて再石灰化療法を約2ヵ月に渡って施し,う蝕歯面の再石灰化を確認した。PCR8.3%,BOP2.4%であり,う蝕傾向も改善したことから,以降歯周病,う蝕両面をケアしつつSPTを継続している。
【考察】ディシジョンツリーを適切に利用した歯周組織再生療法の術式選択は,良好な予後獲得に対して有効と思われる。歯周治療により歯周病原細菌数が減少し嫌気的環境が改善されると,う蝕原生細菌の増加,根面の露出に伴いう蝕リスクが高まる可能性がある。
【結論】条件に合わせた切開縫合法の選択は,歯周組織再生療法の成功に良好な影響を与える。歯周治療によりう蝕傾向が生ずる可能性があるため,歯周病治療後は,歯周病のみならずう蝕のケアも必須であると思われる。