日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

臨床(認定医・専門医)ポスター

矯正治療

臨床(認定医・専門医)ポスター
矯正治療

2017年12月17日(日) 09:00 〜 16:50 ポスター会場 (さくら)

DP-37~DP-40
(ポスター討論:12:00~12:50)

[DP-37] 広汎型重度慢性歯周炎患者に包括的治療を行った一症例

A case report of Comprehensive treatment for generalized severe chronic periodontitis

久保田 義隆/Yoshitaka Kubota (久保田歯科医院/Kubota Dental Clinic)

研修コード:2504

キーワード:クロスアーチスプリント、フレアーアウト、根分岐部病変、歯周-矯正治療

【症例の概要】初診日:2011年1月29日。患者:52歳,女性。主訴:上下前歯の動揺,25冠脱離。全身既往歴:特になし。服薬なし。口腔既往歴:歯科受診は約3年ぶり。約1年半前より動揺を自覚。家族歴:父親総義歯,母親は残存歯2本・下顎総義歯。診査・検査所見:全顎的に歯肉の発赤・腫脹,中等度~重度の歯槽骨の水平的骨吸収,および部分的に楔状骨欠損を認めた。BOP:84.5%,PCR:75.0%。診断:広汎型重度慢性歯周炎,二次性咬合性外傷。
【治療方針】1)歯周基本治療 2)再評価 3)歯周外科治療 4)再評価 5)口腔機能回復治療 6)再評価 7)SPT
【治療経過・治療成績】1)歯周基本治療(14, 41抜歯)2)再評価 3)歯周外科治療;33~37,17・15・13~23 4)再評価 5)口腔機能回復治療:上顎はフレアーアウトの改善,下顎は叢生の改善を目的とした矯正治療後,上下顎クロスアーチブリッジにて歯周補綴を行った。6)再評価 7)SPT
【考察】崩壊し始めた咬合を安定するためにプロビジョナルレストレーションを用いて治療を進めた。17は遠心の根分岐部病変Ⅱ度に対しオドントプラスティを行い,再評価にて歯周組織の安定と清掃性の確認後,保存した。歯周-矯正治療は,咬合状態・清掃性の改善に有効だった。上下顎ともに,欠損状態と残存する付着の量を考慮し,クロスアーチスプリントにて補綴治療を行った。今後もSPTにて再評価を繰り返し,経過を観察していきたい。
【結論】患者のセルフケアの改善,包括的な治療への理解,良好なプラークコントロールの維持により,歯周組織と咬合の安定を確立することができた。