歯科衛生士症例ポスター
セルフケアの確立

[HP-20] 不良補綴物改善に伴い患者コンプライアンスと歯周基本治療の精度の向上を認めた広汎型中等度および限局型重度慢性歯周炎の一症例

A case of generalized moderate and localized severe chronic periodontitis compliance and initial preparation accuracy were advanced with improvement of incompatible prosthesis

清水 里香¹，長谷川 桃¹，岩野 義弘^1,2／Satoka Shimizu¹，Momo Hasegawa¹，Yoshihiro Iwano^1,2 (岩野歯科クリニック¹，日本大学歯学部歯科保存学第Ⅲ講座²／Iwano dental clinic¹，Department of Periodontology, Nihon University School of Dentistry²)

研修コード：2504

Keywords:不良補綴物、セルフケア、歯周基本治療、慢性歯周炎

【はじめに】歯科矯正治療後の慢性歯周炎患者に対し，不良補綴物を除去することによりセルフケアおよびSRPの精度が向上した症例を報告する。
【初診】平成25年10月19日 47歳 女性
主訴：歯周病の治療をしてほしい，歯科矯正治療中に治療できなかった歯を白くしたい。
全身的既往歴：特記事項なし
喫煙歴：なし
【診査・検査所見】全顎的に歯肉の発赤腫脹を認め，PCR60.4%，BOP25%，4mm以上のPPD41.7%であった。X線学的に補綴物マージンの不良を認めた。
【診断】広汎型中等度および限局型重度慢性歯周炎
【治療計画】1）歯周基本治療（う蝕治療，不良補綴物除去，感染根管治療） 2）再評価 3）歯周外科治療 4）再評価 5）口腔機能回復治療 6）SPT
【治療経過】保定装置や不良補綴物，歯肉退縮により歯頚部のブラッシングが困難であったが，不良補綴物を除去することによりPCRは20%以下へと下降した。同時に器具の到達性が向上したこともあり，歯周外科治療は行わずとも全ての歯周ポケットが3mm以下となった。現在SPT移行後約3年が経過しているが，PPDは全て3mm以下であり，PCR4.9%，BOP2.8%と安定した状態を維持している。
【考察・まとめ】プラークリテンションファクターであった不良補綴物を除去することで，セルフケアおよびプロフェッショナルケアが向上した。また審美性の高い補綴物を装着したことで，患者の口腔ケアに対するモチベーションがさらに向上し，改善した歯周組織の維持に役立っているものと推察する。今後もモチベーションを維持し，継続的にSPTを行えるよう患者とのコミュニケーションを大切にしたいと考える。