日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

歯科衛生士症例ポスター

プロフェッショナルケア

歯科衛生士症例ポスター
プロフェッショナルケア

2017年12月17日(日) 09:00 〜 16:50 ポスター会場 (さくら)

HP-24~HP-27
(ポスター討論:12:00~12:50)

[HP-24] 歯周基本治療が奏功した広汎型侵襲性歯周炎の一症例

Proper Initial Preparation Promotes Improvement of Aggressive Periodontitis

川井 千恵子1,永原 隆吉2,栗原 英見3/Chieko Kawai1,Takayoshi Nagahara2,Hidemi Kurihara3 (ともデンタルクリニック1,日本鋼管福山病院 歯科2,広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 歯周病態学研究室3/Tomo Dental Clinic1,Nippon Kokan Fukuyama Hospital2,Department of Periodontal Medicine, Division of Applied Life Science, Institute of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University3)

研修コード:2305

キーワード:侵襲性歯周炎、歯周基本治療

【はじめに】広汎型侵襲性歯周炎の患者に対し,一連の歯周基本治療による炎症と咬合のコントロールを行い,良好な結果を得た症例を報告する。
【症例の概要】患者は42歳女性。既往歴:12年前に特発性血小板減少性紫斑病のため脾臓摘出。現病歴:多数歯に動揺を自覚していたが数年間放置,45が自然脱落したのを機に近医を受診したところ,残存歯を全て抜歯する治療計画を示された。患者は歯の保存を望んでいたため,広島大学病院歯周診療科を受診した。現症:初診時の残存歯数は30本であり,全顎にわたり縁上縁下歯石の沈着を認め,歯肉に著名な腫脹,発赤を認めた。歯周ポケットの深さは4-6mmが38.9%,7mm以上が38.9%,BOPは85.0%であった。血清抗体価検査では,抗P.g,A.a抗体が高値であった。咬合力はプレスケール検査で17.5N,PCRは58.3%であった。
【診断】広汎型侵襲性歯周炎
【治療計画】①歯周基本治療 ②再評価 ③咬合機能回復治療 ④再評価 ⑤SPT
【治療経過】12, 17, 24, 37, 38, 48の抜歯,患者教育を含む歯周基本治療を実施した。歯周基本治療のみで歯周組織の炎症が消退したため,咬合機能回復治療を行い再評価後にSPTへ移行した。咬合力は208.8Nと回復し,抗P.g抗体価は低下した。
【考察・まとめ】患者は歯周病が細菌感染症であることを良く理解し,セルフケアの意識が向上した。本症例は組織破壊が高度であったが,良好なプラークコントロールと確実な基本治療によって,歯周組織の炎症が大きく改善した。患者は治療経過に満足し,高いレベルのセルフケアが維持され,長期にわたって良好な状態が維持されている。