[LS1] ~歯科医科連携によるOral-systemic connectionの展望~
研修コード:2504
略歴
1994年 信州大学医学部医学科卒業
1994年 信州大学医学部内科学第一教室,三井記念病院 内科研修医
2002年 米国ハーバード大学医学部ボストン小児病院 リサーチ・フェロー
2005年 帰国後,信州大学医学部循環器内科で研究,診療,教育に従事
2008年 信州大学大学院臓器発生制御医学講座 循環器病態学分野 助教
2011年 信州大学医学部附属病院 循環器内科 講師,同 統括医長
2016年 信州大学医学部保健学科 教授(現職)
専門は,循環器内科,動脈硬化,高血圧,心不全,生活習慣病など
1994年 信州大学医学部医学科卒業
1994年 信州大学医学部内科学第一教室,三井記念病院 内科研修医
2002年 米国ハーバード大学医学部ボストン小児病院 リサーチ・フェロー
2005年 帰国後,信州大学医学部循環器内科で研究,診療,教育に従事
2008年 信州大学大学院臓器発生制御医学講座 循環器病態学分野 助教
2011年 信州大学医学部附属病院 循環器内科 講師,同 統括医長
2016年 信州大学医学部保健学科 教授(現職)
専門は,循環器内科,動脈硬化,高血圧,心不全,生活習慣病など
動脈硬化性脳心血管疾患(atherosclerotic cardiovascular disease: ASCVD)は,わが国の国民医療費の約20%を占め,日本人の死因の約25%に関連しています。「人は血管とともに老いる(William Osler)」ため,超高齢化に伴い,地域保健において動脈硬化対策およびASCVDの早期発見と早期治療は重要課題です。
歯周疾患が関連する全身疾患は,ASCVD,糖尿病,認知症,閉塞性睡眠時無呼吸,関節リウマチなど多岐に渡り,Oral-systemic connectionとして注目されています。このような全身疾患との関連は人種差が報告されていることから,私たちは松本市の歯周疾患検診データと国民健康保険診療報酬明細(レセプト)データを活用したOral-systemic connectionの調査を目的として,松本市歯科医師会,松本市医師会,信州大学,東京大学,松本歯科大学の研究者らにより「医科歯科連携による先進予防医療研究会・松本(Dental and Medical Collaboration for the Advanced Medical Prevention: D-CAMP松本)」を組織しました。松本市健康福祉部のご協力をいただき,2008年4月から2016年3月までの8年間に歯周病検診を受診した6,068例のうち,国民健康保険レセプトを有する2,574例を調査対象としました。総数409,398件のレセプトから個人単位で突合した19,367件より全身疾患の病名(疾患コード)を抽出し,多重ロジスティック回帰分析による横断研究を実施しました。その結果,単変量解析ではCPIと脳梗塞が関連しましたが,多変量解析ではCPIは全身疾患との関連を認めませんでした。健全歯数,残存歯数,喪失歯数は複数のACSVDと関連し,この関連は既存の危険因子で調整した多変量解析においても有意でした。また高血圧性疾患,糖尿病などのASCVDの危険因子となる代謝関連の病態も,歯数と有意に関連しました。興味深いことに,歯数と糖尿病の細小血管合併症(腎症と網膜症)は顕著な関連を認めました。
本日は,D-CAMP・松本による研究成果の詳細をご報告し,ASCVDの現状と課題,そして医科歯科連携によるASCVD予防の新たな展開を考えます。この発表の機会をいただき,関係各位に深謝申し上げます。
歯周疾患が関連する全身疾患は,ASCVD,糖尿病,認知症,閉塞性睡眠時無呼吸,関節リウマチなど多岐に渡り,Oral-systemic connectionとして注目されています。このような全身疾患との関連は人種差が報告されていることから,私たちは松本市の歯周疾患検診データと国民健康保険診療報酬明細(レセプト)データを活用したOral-systemic connectionの調査を目的として,松本市歯科医師会,松本市医師会,信州大学,東京大学,松本歯科大学の研究者らにより「医科歯科連携による先進予防医療研究会・松本(Dental and Medical Collaboration for the Advanced Medical Prevention: D-CAMP松本)」を組織しました。松本市健康福祉部のご協力をいただき,2008年4月から2016年3月までの8年間に歯周病検診を受診した6,068例のうち,国民健康保険レセプトを有する2,574例を調査対象としました。総数409,398件のレセプトから個人単位で突合した19,367件より全身疾患の病名(疾患コード)を抽出し,多重ロジスティック回帰分析による横断研究を実施しました。その結果,単変量解析ではCPIと脳梗塞が関連しましたが,多変量解析ではCPIは全身疾患との関連を認めませんでした。健全歯数,残存歯数,喪失歯数は複数のACSVDと関連し,この関連は既存の危険因子で調整した多変量解析においても有意でした。また高血圧性疾患,糖尿病などのASCVDの危険因子となる代謝関連の病態も,歯数と有意に関連しました。興味深いことに,歯数と糖尿病の細小血管合併症(腎症と網膜症)は顕著な関連を認めました。
本日は,D-CAMP・松本による研究成果の詳細をご報告し,ASCVDの現状と課題,そして医科歯科連携によるASCVD予防の新たな展開を考えます。この発表の機会をいただき,関係各位に深謝申し上げます。