日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

ランチョンセミナー

ランチョンセミナー12

2017年12月17日(日) 12:10 〜 13:00 G会場 (Room D)

座長:森田 学(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 予防歯科学分野)

共催:小林製薬株式会社

[LS12] 歯周疾患モデルにおける植物由来成分配合歯磨剤の有用性 ~薬用歯磨剤「生葉」の薬理学的評価~

戸田 雅人 (小林製薬株式会社 ヘルスケア事業部 研究開発部)

研修コード:2504

略歴
2007年 京都工芸繊維大学卒業
2009年 京都大学大学院生命科学研究科修士課程修了
2012年 小林製薬株式会入社 現在に至る
成人の約80%以上が歯周病を有すると言われており,健康日本21(第2次)においてもより一層の歯周病予防対策の推進が求められている。さらに,近年では高齢者における残存歯数の増加に伴う歯周疾患の増加や糖尿病などの全身疾患との関連が報告されており,口腔内に限らず全身の健康維持における歯周病予防の重要性が注目されている。
歯周病の予防対策には歯科医・歯科衛生士によるプロフェッショナルケアとブラッシングや歯間清掃を中心とした日々のセルフケアが重要である。セルフケア製品としては,多くのメーカーが歯周病予防歯磨剤の開発を行っており,オーラルケア製品市場において大きなシェアを占めるようになってきている。
一般的に歯周病予防歯磨剤には,歯周病原細菌に対する殺菌成分に加えて歯肉の炎症を防ぐための抗炎症成分が配合される。歯磨剤に配合される代表的な抗炎症成分としては,グリチルリチン酸ジカリウムやβ-グリチルレチン酸が挙げられ,これらは多くの漢方薬に配合される薬用植物である甘草に含まれる薬用成分である。また,甘草由来成分以外にも植物由来成分の抗炎症作用など歯周組織や歯肉細胞への作用に関する報告がなされており,植物由来成分の歯周疾患対策への有用性が示唆されている。
「生葉」シリーズは,薬用成分として甘草由来抗炎症成分であるグリチルリチン酸ジカリウム又はβ-グリチルレチン酸,殺菌成分であるヒノキチオールなどを,添加物としてトウキエキス,シャクヤクエキス,ムクロジエキスなどの植物由来成分を配合した薬用歯磨剤である。
本セミナーでは,我々の行った再生ヒト歯肉上皮3次元培養モデルを用いた薬理学的評価により得られた結果やラット実験的歯周炎モデルを用いた植物由来成分配合歯磨剤の有用性評価を中心とした文献報告から,植物由来成分配合歯磨剤の歯周疾患への作用に関する知見を紹介する。