60th Annual Meeting in Autumn

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ランチョンセミナー

ランチョンセミナー2

Sat. Dec 16, 2017 12:00 PM - 12:50 PM C会場 (アネックスホール)

座長:小林 明子(小林歯科医院)

共催:科研製薬株式会社

[LS2] 新しい歯周治療の選択肢-歯周組織再生剤「リグロス®」を良く知っていただくために-

北村 正博 (大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座 歯周病分子病態学)

研修コード:2504

略歴
1986年3月 大阪大学歯学部 卒業
1990年3月 大阪大学大学院歯学研究科歯学臨床系口腔治療学 修了 歯学博士
1990年4月 大阪大学歯学部附属病院 口腔治療科 医員
1992年6月 大阪大学歯学部 口腔治療講座 助手
1996年11月 大阪大学歯学部 口腔治療講座 講師
1999年11月 大阪大学歯学部附属病院 歯周科 講師
2008年10月 大阪大学大学院歯学研究科 准教授現在に至る

日本歯周病学会 歯周病専門医・指導医
日本歯科保存学会 歯科保存治療専門医・指導医
日本再生医療学会 再生医療認定医
近年“再生医療”に対する期待が高まっていますが,歯科領域では他の医療分野に先立ち歯周組織再生誘導法(GTR法)がいち早く登場し,歯周組織の再生が現実のものになっていました。その後,エナメルマトリックスタンパクを主成分とする歯周組織再生用の高度医療管理機器としてエムドゲインが開発され,現在はエムドゲインゲルとして臨床応用されています。しかしながら,これらの治療法は,人工膜を設置するなど手技的に難易度が高かったり動物由来製品であるといった点に加え,概ね健康保険適応外の治療であることから,わが国では広く多くの人に受け入れられるものではありませんでした。そこで,我々の研究室では,強力な血管新生作用と間葉系細胞の増殖誘導能を有する塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)に注目し,科研製薬(株)との共同研究でより簡便で有効な新規の歯周組織再生療法(FGF-2を有効成分とする歯周組織再生用医薬品)の開発に長年取り組んできました。この度,歯周病学会の多くの会員の方々のご協力を得て,これまでの研究成果が実を結び,世界初の歯周組織再生用FGF-2製剤として歯周組織再生剤「リグロス歯科用液キット」が誕生し,2016年12月より販売が開始されました。
今回のセミナーでは,「リグロス」の開発過程における動物実験でのFGF-2の歯周組織再生効果と,その後に実施した歯周炎患者を対象とした歯周組織再生試験やエムドゲインゲルとの比較試験などの臨床試験の結果を通じて,「リグロス」の薬理作用について解説いたします。そして,「リグロス」の開発段階や販売開始後に「リグロス」を投与した症例を通じて,「リグロス」の適応症や臨床効果について概説させていただきたいと思います。また,「リグロス」の開発段階における臨床例の長期的観察を通じて,「リグロス」適応症例の長期的予後やその適応がもたらす効果についても情報提供する予定です。さらに,「リグロス」の使用に際して,歯科衛生士の皆さんが担当されるであろう「リグロス」の診療室での保管や手術時の調製方法についての注意点についても説明したいと思います。「リグロス」は健康保険適応の医薬品で,保険治療のフラップ手術時に使用可能であることから,これまで以上に多くの方に適応が可能と考えられます。一般に,歯周病でお困りの患者の皆さんは,口腔清掃指導などを通じて歯科衛生士との緊密な信頼関係が形成されることが多く,歯科医師に尋ねにくいと感じられた場合でも歯科衛生士の皆さんには気楽にご相談されているように思われます。本セミナーが,新しく歯周治療の選択肢となった歯周組織再生剤「リグロス」に対する歯科衛生士の皆様の理解に役立ち,患者の皆さんへの説明や臨床での「リグロス」の円滑な使用を通じて,歯周炎患者の病状の改善に少しでも貢献できれば幸いです。