日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

ランチョンセミナー

ランチョンセミナー9

2017年12月17日(日) 12:10 〜 13:00 D会場 (スワン)

共催:ストローマンジャパン株式会社

[LS9] データと理論から読み解く再生治療,EMDをより効果的に応用する ~“エムドゲインを活かすための骨補填材との併用”を中心に~

笹田 雄也 (船越歯科歯周病研究所)

研修コード:2504

略歴
2004年 九州大学歯学部卒業
2004〜2008年 九州大学病院 義歯補綴科
2008年〜 船越歯科歯周病研究所
2015年 テキサス大学サンアントニオ校歯周病科留学Dr. David Cochranに師事
  (ITI Scholar in University of Texas Health Science Center at San Antonio, USA)

日本歯周病学会 歯周病専門医
アメリカ歯周病学会
ITI Member
エムドゲイン(Emdogain®)が新たな歯周組織再生治療として登場し,広く臨床応用されてから約20年が経過した。その間その他の様々な歯周組織再生材料が登場したものの,未だに歯周組織再生治療の世界的ゴールドスタンダードと言えるであろう。その背景には数多くの基礎研究,臨床研究によるエビデンスの蓄積が他の追随を許していないことが挙げられ,信頼性・予知性の高い再生材料として世界中の臨床医から支持さているからと言えるのではないかと思う。
エムドゲインの開発,製造元であったビオラ社は当時,エムドゲインによる歯周組織再生は歯周組織発生を模倣している,というコンセプトを発表していた。しかし,その後の研究によりEMD(Enamel Matrix Derivative)は,その最大の特徴でもある複数のタンパクの存在により種々の細胞の分化・増殖に関与し,硬・軟組織双方に良好に作用することが分かってきている。
またティッシュエンジニアリングおいて必要な要素の1つである“Scaffold”に対する最近の理解では,単に再生の足場という役割だけではなく,シグナル分子の“Drug Delivery System”様の役割も重要であることが分かってきた。
このような新たなEMDの再生メカニズムの理解や歯周組織再生に必要な要件が整備されてきたことにより,EMDのより効果的な使用,さらなる臨床応用の可能性が見出されてきてきた。今回は,EMDの再生メカニズムに基づいたより効果的な臨床応用を行うために必要な要件をまとめ,明日の臨床からすぐに使えるテクニック,特に再生に必要なタンパクを欠損部位に長時間貯留させることを目的とした,“エムドゲインを活かすための骨補填材との併用”を中心に考えていきたいと思う。