日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

一般演題ポスター

Periodontal Medicine

一般演題ポスター
Periodontal Medicine(基礎)

2017年12月16日(土) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (さくら)

P-009~P-018
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-014] Porphyromonas gingivalisP.g.)感染が肝癌の発生及び進展に与える影響

The effects of Porphyromonas gingivalisP.g.)infection into hepatocyte on development and progression of hepatocellular carcinoma(HCC)

坂本 真一1,古庄 寿子1,宮内 睦美1,田原 栄俊2,髙田 隆1/Shinnichi Sakamoto1,Hisako Furusho1,Mutsumi Miyauchi1,Hidetoshi Tahara2,Takashi Takata1 (広島大学大学院医歯薬保健学研究科口腔顎顔面病理病態学講座1,広島大学大学院医歯薬保健学研究科細胞分子生物学研究室2/Department of Oral and Maxillofacial Pathology, Institute of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University1,Department of Cellular and Molecular Biology, Institute of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University2)

研修コード:2202

キーワード:NASH関連肝癌、インテグリン、P.g.、FAK

【目的】近年,腸内細菌が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)関連肝癌の発生/進展に関わる可能性が示唆されているが,歯周病原細菌の関与を検討した研究はない。我々はNASH マウスモデルを用い,Porphyromonas gingivalisP.g.)歯性感染がNASHの病態を増悪させ,その際肝細胞にP.g.感染がみられる事を報告した。そこで,今回はP.g.感染のNASH関連肝癌発生/進展への関与を検討するため,以下のin vitroの実験を行った。
【方法】1)ヒト肝細胞にP.g.を感染させ,プロテオーム解析後,非感染細胞と比較検討し,変動のあった蛋白質についてWestern Blot法にて詳細に検討した。
2)ヒト肝細胞と肝癌細胞にP.g.を感染させ,i)増殖,ii)ドキソルビシン(DOX)誘導アポトーシスおよび iii)遊走能への影響を調べた。
【結果】1)P.g.感染肝細胞のみに発現した蛋白にintegrinのシグナル伝達に関わるFAKが含まれていた。肝細胞へのP.g.感染はFAKを増加させるとともにFAKとその下流のERKやAKTのリン酸化を誘導した。
2)正常肝細胞/肝癌細胞ともにP.g.感染によりi)増殖能の有意な亢進,ii)DOXの誘導するcCASP-3/cPARP発現上昇と浮遊細胞数増加の著明な抑制やiii)遊走能の促進が誘導され,正常肝細胞では有意差がみられた。
【結論】P.g.感染はintegrinシグナル伝達経路であるFAK/ERK/AKTの活性化を介し,肝細胞や肝癌細胞の増殖,アポトーシス,浸潤に影響した。よって,P.g.感染が肝癌の発生や進展に関わる可能性が示唆される。