[P-014] Porphyromonas gingivalis(P.g.)感染が肝癌の発生及び進展に与える影響
The effects of Porphyromonas gingivalis(P.g.)infection into hepatocyte on development and progression of hepatocellular carcinoma(HCC)
研修コード:2202
キーワード:NASH関連肝癌、インテグリン、P.g.、FAK
【目的】近年,腸内細菌が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)関連肝癌の発生/進展に関わる可能性が示唆されているが,歯周病原細菌の関与を検討した研究はない。我々はNASH マウスモデルを用い,Porphyromonas gingivalis(P.g.)歯性感染がNASHの病態を増悪させ,その際肝細胞にP.g.感染がみられる事を報告した。そこで,今回はP.g.感染のNASH関連肝癌発生/進展への関与を検討するため,以下のin vitroの実験を行った。
【方法】1)ヒト肝細胞にP.g.を感染させ,プロテオーム解析後,非感染細胞と比較検討し,変動のあった蛋白質についてWestern Blot法にて詳細に検討した。
2)ヒト肝細胞と肝癌細胞にP.g.を感染させ,i)増殖,ii)ドキソルビシン(DOX)誘導アポトーシスおよび iii)遊走能への影響を調べた。
【結果】1)P.g.感染肝細胞のみに発現した蛋白にintegrinのシグナル伝達に関わるFAKが含まれていた。肝細胞へのP.g.感染はFAKを増加させるとともにFAKとその下流のERKやAKTのリン酸化を誘導した。
2)正常肝細胞/肝癌細胞ともにP.g.感染によりi)増殖能の有意な亢進,ii)DOXの誘導するcCASP-3/cPARP発現上昇と浮遊細胞数増加の著明な抑制やiii)遊走能の促進が誘導され,正常肝細胞では有意差がみられた。
【結論】P.g.感染はintegrinシグナル伝達経路であるFAK/ERK/AKTの活性化を介し,肝細胞や肝癌細胞の増殖,アポトーシス,浸潤に影響した。よって,P.g.感染が肝癌の発生や進展に関わる可能性が示唆される。
【方法】1)ヒト肝細胞にP.g.を感染させ,プロテオーム解析後,非感染細胞と比較検討し,変動のあった蛋白質についてWestern Blot法にて詳細に検討した。
2)ヒト肝細胞と肝癌細胞にP.g.を感染させ,i)増殖,ii)ドキソルビシン(DOX)誘導アポトーシスおよび iii)遊走能への影響を調べた。
【結果】1)P.g.感染肝細胞のみに発現した蛋白にintegrinのシグナル伝達に関わるFAKが含まれていた。肝細胞へのP.g.感染はFAKを増加させるとともにFAKとその下流のERKやAKTのリン酸化を誘導した。
2)正常肝細胞/肝癌細胞ともにP.g.感染によりi)増殖能の有意な亢進,ii)DOXの誘導するcCASP-3/cPARP発現上昇と浮遊細胞数増加の著明な抑制やiii)遊走能の促進が誘導され,正常肝細胞では有意差がみられた。
【結論】P.g.感染はintegrinシグナル伝達経路であるFAK/ERK/AKTの活性化を介し,肝細胞や肝癌細胞の増殖,アポトーシス,浸潤に影響した。よって,P.g.感染が肝癌の発生や進展に関わる可能性が示唆される。